新聞広告や中づりは、編集長が作ります。日曜の段階でタイトルを考え、記事の扱い、大小、右トップと左トップに持ってくる記事はどれか、といった原案をすべて編集長が考え、出来上がってから編集幹部と話し合って完成させます。そして、火曜の夕方には中づりは電通に、新聞広告は新聞社に運ばれます。なぜ、発売日よりも2日も早いのかというと、一応、理由は「新聞や中づりのNGワードと週刊誌の言葉が合うかどうか」を審査するということになっています。
たとえば、男性週刊誌が使う「巨乳」は「豊乳」に書き直しを要請されます。「巨乳」は女性蔑視なのだそうです(仮にそうだとしても、豊乳が女性蔑視でないのか疑問の余地がありますが)。あるいは、SEXという言葉です。なぜか新聞では、「SEX」はことさら性を強調するとして「性」に直せという要請がありました。一方、中づりはその逆で、「性」ではなく、子供が読めないであろう「SEX」にしてほしいとの要請があるのです(今は違うのかもしれませんが)。
権力者の手助けをする
大新聞の不見識
まあ、しかし、双方がうすうすわかっていることなのですが、実際には、新聞社は週刊誌が自分たちの知らないことをやっていないか、やっていれば、担当各部署に「こんな記事が出るよ」と通報するための事前審査であることは間違いありません(かつて担当した新聞社の人は認めていました)。中づりにしても、担当が広告代理店ですから、クライアントに内容を通報する可能性は十分にあります。
実際、何度も被害に遭いました。たとえば、芸能人のスキャンダルだと、スポーツ紙は広告でそれを知り、発売前日に事務所に「こんな記事が出る」という内容だけで取材をかけます。事務所がコメントすると、それだけは自社の取材ですから、「独自取材」となります。
「何日にわかった」という、よくわからない前置きで記事が出て、事務所側のどうでもいいコメントが載ることで、週刊誌のスクープではなくなってしまいます。