人をつなぐのがコミュニティ運営者の仕事

西村:つながりづくりで大切なのは、相手との共通点を見つけることです。これはすごく重要だと思ってます。例えば、出身が同じというだけで一瞬で盛り上がりますよね。ほかにも境遇が似ているケースもいいですね。よくスタートアップなどでは「ぼっち人事」が多いんです。

 ベンチャー企業の1人目の人事担当者として入社するんだけれど、2人目が入ってこずに、ずっとワンオペで人事をやっている。そういう「ぼっち人事の会」というコミュニティもあります。そういう共通点なども、あるとつながりやすいですね。

 本書にあったように、イベントの受付でネームシールを渡して、名前や肩書きだけでなく、イベントに参加した目的なども書いてもらうといった工夫なんかは、共通言語を意図的に仕込むための重要な仕掛けだと思いました。コミュニティ運営者にとっては、参加者同士の共通点を見つけてつなげることが、すごく重要な役割ですから。

河原:それも、それぞれの参加者を見ていないと、つなげることはできませんよね。

藤田:西村さんの著書には、「これからの時代、自分のタグを持つように」と書いてありました。それぞれの人が、自分のキャリアタグが何かを意識すること。こういう複業の概念と、コミュニティづくりの概念は非常に似ているんだなと感じたんです。自分のタグが何かを知って、ギブファーストで信頼を構築していく。それはコミュニティづくりでも大切なポイントです。

河原:西村さんが、コミュニティ運営のスキルを養ったのはいつなのでしょうか。

西村:学生時代ですね。僕が通っていた東京都立大学は、東京の端っこにあって、学生の数も少なくて、それも安定志向の人が多かったんです。卒業後にリクルートに就職するような人はマイノリティでした。

 だからこそ、僕はベンチャー企業やリクルートに就職する同窓生を、縦のラインで束ねるコミュニティをつくったんです。OBやOGのほかに、現役学生でとがりたいと思っている人にも声をかけて、さらにはほかの大学にも声をかけてつながっていった。「つながる力」の偉大さを初めて実感したのは、この時のことです。

 あとは、ニューズピックスができた頃、とても面白いと思ったので、一緒に面白がってくれる人とつながっていきました。僕は、自分が好きなことを、好きな人と、好きなように語り合うのが好きなんです。だからニューズピックス非公式ユーザーコミュニティをつくったりしていましたし、(シェアオフィスの)WeWorkを使い始めた時もユーザーの会をつくったりしていました。

藤田:積極的にコミュニティをつくるために動くのですね。