コミュニティ運営に必要な加熱と保温

藤田:西村さんご本人はこれまで、手探りでコミュニティづくりをてがけてきました。苦労した点はどこでしょう。

西村:少し専門的ですが、僕が会社員時代、新規事業部門で担当していたプロダクトは、SaaSの採用支援ツールでした。2014年当時はまだ(社員が知人を会社に紹介する)「リファラル採用」という言葉が今ほど知られていなかった段階で、リファラル採用の認知度を高めていかないといけなかった。

 当時から既に、サイバーエージェントやメルカリなどはリファラル採用で結果を出していました。ですから、リファラル採用について学ぶための「リファラボ」というフェイスブックグループをつくって、幅広い企業の人事担当者コミュニティを構成していったんです。

 本書でも書いていますがフェイスブックグループでコミュニティをつくるのには、「やるからにはやり続ける」という覚悟が必要です。しかも、単に続ければいいというわけでもありません。

藤田:フェイスブックグループの活用でポイントになるのは何でしょう?

西村:大切なのは、「加熱」と「保温」です。

 コミュニティは参加者の熱量が非常に大切です。参加者の熱量を高めて、維持すること。その両方が求められるのです。

 例えば、オフラインでイベントを開催して、参加者が顔を合わせることで熱量を高めていく。ただこれは、毎日、毎週、開催することはできません。やはり物理的に開催頻度は限られますよね。その上、イベントしかやっていないと、開催した直後はコミュニティの熱量が上がるけれど、時間がたつにつれ下がってしまいます。

 イベントで熱量を高めて、さらにフェイスブックグループのコミュニティにコンテンツを投下して熱量を維持していくこと。それも単なるお知らせのような一方通行の連絡ではなく、スレッドのような形で、参加者が意見を交換できるようにしていくこと。運営側だけでなく、参加者も加われるようにして、まるで魔法瓶のように熱量を保温して、次のイベントでさらに熱量を高めていく。この保温と加熱を繰り返すのが大切なんです。

河原:当時は一人でコミュニティ運営をしていたのでしょうか。

西村:基本的に、主担当は一人でした。人手が必要な時にはコミュニティ参加者にサポートをお願いすることもありましたが。

藤田:イベントを開催し、フェイスブックグループでコミュニティを盛り上げようとすると、イベントのレポート記事を投稿したりしますよね。ただ、イベントは開催するのにエネルギーが必要なので、ついコミュニティの熱量を保温するためのコンテンツづくりがおろそかになってしまいます。西村さんはどうやってコンテンツづくりなどを手掛けてきましたか。