転職・就職 新14メガトレンド#1Photo:bee32/gettyimages

求人数の増減、採用人気職種、異業種転職の流入元・流出先、転職希望者が重視する条件の変化、有利に働くビジネススキル……。特集『転職・就職 新14メガトレンド』(全14回)の#1では、日々、転職希望者と企業の間に立って活躍する主要7業界を代表するトップエージェント31人への調査を通じて、人材市場の今を解き明かす。コロナ禍によって人々の働き方や仕事に対する価値観が大きく変わった今、転職希望者と企業がその変化に向き合うためのポイントとは?(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

足元の雇用情勢が最悪でも
転職が増えそうな理由

「正月、ゴールデンウイーク、お盆。これら長い休みが明けた後に増えるのは結婚と転職」――。

 長年、人材市場に身を置くある経営者は、こんな“定説”を披露してくれた。

 結婚と転職は家族とじっくり話し合って決めるもの。だから折々の休みが明けると、結婚式場は予約で埋まり、転職サイトには新規登録したりキャリア相談を申し込んだりする人が増えるのだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの企業が一斉に在宅勤務に突入した。くだんの経営者は、ビジネスパーソンが「休み」ではないものの、在宅勤務で家族と過ごす時間が格段に増えたことで、定説と同じ効果があるだろうと見立てているのだ。

 しかし、足元の雇用情勢は転職どころではない。

 有効求人倍率は4月、4カ月連続で前月を下回り1.32倍を付けた。新規求人数は前月比で22.9%減少し、統計を集計し始めた1963年以降、最大の落ち込みだった。

 ただ、同時に「IT人材はどの企業も求めており、むしろ企業の採用意欲は上昇している」という話も聞こえてくる。

 果たして今、転職するべきなのか、それともとどまるべきなのか。その答えを探るために、ダイヤモンド編集部では大手人材紹介会社のトップ転職エージェント31人に取材を敢行。統計データには表れない、今の転職市場の実像を探った。

 そこから見えてきた転職市場は、雇用情勢を反映した厳しさと、コロナ禍だからこそのチャンスが共存する、まだら模様の姿だった。