災害時に考えるべき
労務管理3つのポイント

 こうした労務管理をめぐる混乱が起こるのは、災害時を想定した労務管理方法が作られていないからであり、実際にそうした企業がとても多いようです。では、これから災害時の労務管理を改めて考える企業は、何から始めればいいのでしょうか。

 まずは、基本に立ち返り「災害時の労働を“再”定義する」ことから始めるべきです。つまり、災害時の労働はどうあるべきか、災害時でも何ができるかに焦点をあてて、その方針に従ったルールを労使で相談の上、定めていくことが求められます。就労規則や労働契約も、そこを明確にしておく必要があります。

 もちろんその際に基本として守るべきは、「従業員の安全」であり「安心して働ける職場」です。これは労働基準法にも示されている大原則であり、使用者は、雇用者に対して、その安全配慮義務を負うことになっています。

 コロナ禍では、高齢者や基礎疾患のある方の重篤化リスクが高く、従業員や役員には、それに該当する人も少なからずおられるでしょう。

 また子育てをされている共働き夫婦や家族の介護をされている方々など、コロナ禍での就労状態に苦労されている方はかなり多いと推察されます。

 そこで、コロナ禍だけでなく、今後発生が懸念される地震などの災害時を想定し、労務管理のポイントとして考えていただきたいのが以下の3点です。

1.労働時間と休暇制度
2.賃金
3.安全配慮義務

 コロナ禍における労働時間と病気休暇制度、賃金についての考え方は、厚生労働省のホームページにQ&Aのスタイルで解説が掲載されています。ぜひ、こちらをチェックして自社での対応を検討してみてください。

*)厚生労働省サイト:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 今回のコロナ禍で特有なのは、安心して働ける職場の衛生状態の定義です。この点は、企業によって対応がまちまちであるとともに、それでも何かルールを設けなければならない難しい問題です。本シリーズの記事「社員をコロナ感染から守る!企業が取るべき感染リスク低減4つの対策」も参考に検討してみてください。