イノベーション人材、経営者人材の
発掘・育成・開花をデザインする
日立製作所は1910年、茨城県日立市で機械修理工場として創業しました。創業の精神は「和」「誠」「開拓者精神」。「優れた自主技術と製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念は、当時から変わっていません。
2008年には巨額の赤字を計上しましたが、事業の撤退・再建・再建後売却を断行し、V字回復を果たしました。こうした一連の流れを受け、我々は戦略的転換点にあるとの認識の下、2016年に「2018中期経営計画」を策定。社会のデジタル化、社会課題の複雑化、新興国の台頭といった環境変化を踏まえ、AIやビッグデータ等のIOTにおけるテクノロジーを活用してお客様や社会の問題を解決する「社会イノベーション事業」をグローバルに展開していくことを宣言しました。
こうした事業変革に連動する形で、人財部門では「グローバル最適での人財の確保・育成・配置」「意識改革」などを柱とした新たな人財戦略を掲げ、さまざまな施策に取り組んでいます。
その一つが、クラウドサービスを活用した人財マネジメント統合プラットフォーム「HiNext」の導入です。グローバルグループ約900社で別々だった人事の仕組みを共通化し、全世界約30万人(日本人16万人、外国人14万人)の人財の見える化や人事業務の効率化を進めています。これに合わせ、年功からジョブ型処遇への変更も行いました。
適所適財の実行にも注力し、その一環として若手リーダー候補者「Future50」の選抜・育成にも取り組んでいます。選ばれたメンバーに対して、個人別に5年間のOJT計画を策定・実行、従来の知識・スキル習得型ではない実践型のOff-JTを国内外で実施しています。
その一つ「GAP-K」は英語で行われる経営研修で、使命感や目的意識といった「志」の醸成、リーダーシップの強化、組織・人への影響力向上に主眼を置いています。またダイバーシティ推進のため、2020年度までに役員層の女性・外国人比率をそれぞれ10%に高めることを数値目標として掲げました。
変革には、マインドセットの改革も不可欠です。「課題解決型」から「価値創造型」へ意識を変えるべく、全執行役員へのインタビューに基づくワークショップにより意識変革の必要性を議論するとともに、社員の一人称意識の醸成を目的としたビジネスプラン・コンテストや、経営幹部によるタウンミーティングを開催しています。
私が常に日立の人財部門に伝えているのは、「実行がカギ」「変化を楽しむ」「“One Hitachi”」の3つです。これらを意識しつつ、2018中計の達成に邁進しているところです。
- ●構成・まとめ|金田俢宏 ●撮影|阪巻正志
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