堂々と話を止める
ビジネスパーソンが忙しい合間を縫って集まる席で、英語が苦手だからといってシャイに振る舞ったり、言いたいことを言わなかったりするのは論外です。やる気がないと思われてしまうでしょう。
たしかに、日本の学校で教えられている英語やTOEICは、完璧なネイティブ英語を理想としています。バリバリの外資企業のマネジメント層に就くなら別ですが、通常、国際ビジネスの現場ではそこまで完璧な英語は求められません。「ビジネス英語=ネイティブ英語」ではないのです。目の前の用事を果たせればOK。難しい文法や構文を覚えるより、聞き取れないスピードで話しかけてくる人に堂々と「ゆっくりしゃべってください」と伝える技術を学ぶ方がはるかに重要です。
英語の会議に積極的に参加できない理由を「リスニングの能力が足りないから」だと思い込んでいる方は多いですが、むしろ、速すぎる相手の英語をなぜ止められないのかを考えてみてください。おそらく、「止めたら悪い」と思っているからでしょう。「悪いのは、リスニングの勉強をさぼった私」と感じているのかもしれませんが、そんな遠慮は不要です。
こちらはわざわざ不慣れな英語で話しているのです。速すぎるスピードで話す方に責任があります。表現が難しすぎるようなら、「今のはどういう意味ですか?」と聞き返しましょう。大切なのは、恐れず、卑下もせず、堂々と聞き返すことです。
もし仮に、わかるふりをしてふんふんと聞いていたら、ネイティブは遠慮なくスピードを上げるでしょう。話を聞き終わった後で聞き直すのはさすがに時間の無駄です。あるいは、相手にコメントを求められて何も言えなかった場合、英語は聞き取れていた風だったのですから、能力ややる気の問題だと思われてしまうかもしれません。
あなたは、この会議体に必要とされているプロフェッショナルのはずです。聞き取れない情報があったら、会議体全体の損失でもある、というくらいの気概を持って堂々と聞き返しましょう。
ですので、英語の得意不得意にかかわらず、会話においては主導権を手放さず、きちんと理解を深められるまで聞き返しましょう。そのためのテクニックをいくつか紹介します。
・会話のスピードのコントロール
ダイレクトに、スピードを落としてくれとお願いするのは1つの手です。「今のところをもう一度」と、聞き取れてないことをアピールするのもありです。何度も言われれば、さすがに相手もスローダウンするでしょう。恥ずかしがらずに言いましょう。
Could you speak more slowly please?
→ゆっくり話してくれませんか?
Can you repeat that please? / Can you say that again?
→もう一度よろしいでしょうか?
・理解を深める
言葉は聞き取れるけれど意味がわからないときは、もう少し詳しく聞いてみるといいでしょう。具体例を示してもらうのも手です。
What do you mean by XXX?
→XXXとはどういう意味でしょうか?
Could you be more specific?
→もう少し、具体的にお願いできますか?
Could you give me more details?
→もう少しディテールを頂けませんか?
Could you give me an example?
→具体例を挙げて頂けませんか?
・オウム返しできるレベルでの理解
相手の言っていることをオウム返しできるレベルで聞き取れれば、問題はありません。「So you mean...?」(→なるほど、こういうことですね)と言い直すことができれば、より理解を深めることができます。
So you are saying XXX?
→XXXということですね?
So... XXX?
→XXXということですね?
So let me confirm what you just said.
→あなたが言ったのはこういうことですか?
Let me check my understanding.
→私の理解が正しいか確認してほしいのですが
次回は残りの2つのアクション、「積極的に質問する」「とにかく笑顔」について紹介します。
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。