わずか20分で1600人をクラシック音楽ファンに変えた
ベンジャミン・ザンダーの名プレゼン

 ベンジャミン・ザンダーはクラシック音楽の普及に並々ならぬ情熱を注いでおり、あらゆる人たちにクラシック音楽を愛してもらおうと熱心な活動を続けている。彼が行ったこの20分ほどのスピーチでは、エンディングに近づくにつれて聴衆が心動かされていく様子が手にとるようにわかる。

 コミュニケーションの達人であるザンダーのプレゼンテーションには、あらゆるところに「コントラスト」がちりばめており、決して聴衆を飽きさせない。プレゼンが始まって1分もしないうちに聴衆はもう反応しはじめ、笑い声があちこちから聞こえてくる。

 ザンダーの、ユーモアと情熱あふれるスピーチの特徴を「3つのコントラスト」の観点からまとめると――

  内容のコントラスト
  ザンダーは、すでにクラシック音楽を愛している人と、「クラシック音楽なんて、空港で見知らぬ人が吸うタバコの副流煙みたいなものだ」と感じている人たちとのギャップを明確にすることで、「現在の姿」と「未來の姿」を行き来する。

  伝達のコントラスト
  コミュニケーションのしかたにもいくつかのコントラストが仕掛けられている。ザンダーはスピーチとピアノ演奏を交互に行い、聴衆に歌わせることでプレゼンテーションに実際に参加するよう仕向ける。

 さらに、ステージ上と客席のあいだを何度か往復して(ときには参加者の顔に触れたりも)、大げさなジェスチャーをしてみたり、芝居がかった表情を浮かべたりもする。

  感情のコントラスト
  ザンダーはスピーチの最中にストーリーをいくつか語り、ときに笑いをとり、ときに涙を誘う。おもしろいストーリーと感動的なストーリーが交互に登場するが、そのどれもが聴衆の心を本来のテーマに結びつけることで、聴衆の心と態度をクラシック音楽が好きになる方向へと導いていく。