ここで前提になるのが「従業員誰一人として感染させないこと」は100%不可能だという共通認識を持つことです。その上でのポイントは、(1)感染を拡大させない仕組み、(2)高リスク者を感染させにくい仕組みを作ることの2点です。これは安全配慮義務を果たすことにもつながります。
また、一般的に企業のBCP(事業継続計画)では、企業リソースとして、ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ、ブランドの5つそれぞれの災害による「キズ(被害の度合い)」を把握し、キズを負っていないリソースを中核事業に集中させ最適化することが基本となります。
パンデミック感染症でのBCPを考える際、当面のキズにあたるのは、ヒトとブランドへの影響です。つまり、クラスターを出さず、高リスク者を守ることで風評被害を回避し、ヒトとブランドを同時に守ることにつなげます。
6つのフェーズに対応した
事業影響度の想定、行動基本方針の策定
まず、フェーズの設定から行います。企業において、感染拡大フェーズをどのように設定すればいいのでしょうか。
オフィス(ビルのフロアを1単位とする)内で、以下のように6つのフェーズを設定しましょう。
ここでは仮にクラスターは5人以上としていますが、企業ごとに定義を変えても構いません。重要なのは、後で柔軟に変更することを前提として、まず「基準値」を設定することです。色識別は、教育周知の際に認知しやすい表示として、社内限定で活用します。
1から6までのフェーズを設定したら、それぞれの局面での事業への影響度を想定し、それに応じた行動計画基本方針を策定します。
事業影響度の想定は、例えば以下のように行います。