6週間後の収縮期血圧は、対照群の125.1±2.7mmHgに比し、高食塩群は225.8±3.1mmHgで有意に高かった(P<0.01)。高食塩+エプレレノン群は210.8±6.3mmHgで高食塩群と有意差がなかった(P>0.05)。なお、体重は全ての群で群間差がなく、同等に成長していた。
勃起機能は、海綿体内圧を平均動脈圧で除した値で評価した。結果は、対照群の0.62±0.03に比し高食塩群は0.30±0.02で、勃起機能の有意な低下が認められた(P<0.01)。一方、高食塩+エプレレノン群は0.49±0.07であり、高食塩群より有意に高く(P<0.05)、血圧は高食塩群と同等であるにもかかわらず、勃起機能の低下は抑制されていた。
勃起のメカニズムには、血管拡張作用のある一酸化窒素(NO)が重要であり、NOの産生には一酸化窒素合成酵素(NOS)が関係している。しかし、そのNOSの働きは、非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)という物質により阻害されてしまい、血管拡張作用が弱くなり勃起機能が低下することが知られている。そこで今回の研究では、ADMAのレベルにも検討を加えた。
その結果、ADMAレベルは対照群の234.1±13.1mg/mLに比し、高食塩群は360.4±19.8mg/mLで有意に高かった(P<0.01)。一方、高食塩+エプレレノン群は265.0±38.8mg/mLであり、高食塩群より有意に低く(P<0.05)、NOSの働きが保たれていることが示唆された。なお、NO合成の基質であるL-アルギニンのレベルは、3群間で有意差がなかった。
このほか、高食塩群では酸化ストレスマーカーや炎症マーカーが対照群に比し有意に上昇し、高食塩+エプレレノン群ではその上昇が抑制されることなどが分かった。
これらの結果から研究グループは、「塩分過多は血圧への影響とは別の経路からもEDを引き起こす可能性があり、アルドステロン拮抗薬がその経路を阻害すると考えられる」と結論づけている。なお、本研究の限界点として、食塩感受性ラットを対象としていることを挙げている。ただしこの点に関しては、加齢やメタボリックシンドロームによって食塩感受性亢進状態にある人が少なくない現状を指摘するとともに、たとえ食塩非感受性であっても高食塩によって内皮依存性血管拡張作用は低下するとの報告があることから、「食塩負荷は食塩感受性の有無にかかわらずEDのリスクになり得る」と述べている。(HealthDay News 2020年8月3日)
Abstract/Full Text
https://www.jsm.jsexmed.org/article/S1743-6095(20)30601-9/pdf
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