さて、このワーケーション、なんとなく夢のある話ように聞こえるし、関係する説明も綿菓子のように甘くフワフワっとしたものが多いようで、まさに雲をつかむような話であるように思う。

 直近でワーケーションが政府の公式な文書に登場したのは、本年度第1次補正予算のうち、環境省所管分である。

 具体的には「国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進」であり、「国立公園等で遊び、働くという新たなライフスタイルを提供するために、国立公園等のキャンプ場や温泉地の旅館等におけるワーケーション実施のための支援や子供向けプログラムを展開する」「自然の中でクリエイティブに仕事ができる場として国立・国定公園の新たな魅力を打ち出す」のだそうだ。

 ここでも「新しいライフスタイル」だの「クリエイティブに仕事ができる場」だのと、夢のような、キラキラ光るような言葉が並んでいるが、そもそもワーケーションとは一体何なのか?

端的に言えば
過疎対策の一環

「ワーク」(仕事)と「バケ―ション」(休暇)を合わせた言葉で、“遊びながら、休暇を楽しみながら働く”“働きながら遊び、休暇を楽しむ”といったものと説明されることが多い。おそらくほとんどのメディアでの説明はそんなところだろう。

 しかし、これをわが国の政策的なコンテクストで考えると、見えてくるのはそうしたものとは別の姿である。

 そもそも、ワーケーションということが言われ始めたのは、地方への移住推進施策の一環としてであり、端的に言えば過疎対策の一環として出てきたものである。

 現政権では地方創生を主要政策の一つとして掲げ、これを推進してきたが、全体として思ったほど大都市から過疎地域への移住は進まなかった(筆者の友人・知人には移住者が結構いるのだが)。

 確かに、「環境がいい」「空気や水がおいしい」「食べ物がうまい」「景色がきれい」と言われても、それだけで移住するわけでもなければ、移住先を決めるわけでもない。「住環境・生活環境はどうなのか」「地域共同体の移住者に対する態度はどうなのか」「仕事はどうなのか」など検討すべき点は多い。元来、安易に移住できるわけではないので、どんなに魅力的なキャンペーンが行われようと、政府が力を入れようと、結果として移住者数がそれほど伸びないのも仕方がないだろう。

 話は少し横道にそれるが、筆者は以前、移住推進を事業の一環として行っている人から、「『いい街だ、いい地域だ、移住しよう』と考えても、まずは賃貸でそのまちの中のいくつかの地域に実際に住んでみてから決めた方がいい)と聞いたことがある。勢いで移住したはいいが、その地域に馴染めなければ、生活環境を悪化させたに等しいからだ。