「イージス・アショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)」の配備断念を受け、自民党は「敵基地攻撃能力」の保有を検討するよう求める提言を8月4日、政府に提出した。
安倍首相は「しっかりと新しい方向性を打ち出す」と語り、「相手領域内でもミサイルなどを阻止する能力」が新しい国家安全保障戦略に盛り込まれるかが、大きな焦点になる。
自民党党内の前のめりの動きに岩屋毅・前防衛相は「陸上イージスが難しくなったから敵基地を攻撃する能力を持つというのは論理の飛躍。地域の緊張を高め軍拡を招く」「国の安全保障政策は外交や経済安全保障を含めて考えるべきで、軍事面や軍事技術にとらわれた議論では大局を誤る」と慎重論を語る。
「専守防衛」政策の転換が今必要なのか、米中新冷戦の下での安全保障の在り方を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
自民党提言には違和感
軍事技術面に偏った議論は危険
――敵のミサイル基地などを直接攻撃する能力の保有を自民党が提言しました。どう受け止めていますか。
論理の飛躍があり、議論には非常に違和感を抱いていた。