コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
発売1ヵ月で10万部を突破した、樺沢紫苑氏による最新作ストレスフリー超大全』では、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る――。

この世は「ムカつく人」だらけ?

コロナ禍では、正義感が強い人が生きにくくなっています。

「街を歩いていて、マスクをつけていない人が許せない!」

「お店で大声の人を見かけるとイラっとする!」

そんな声が私のもとへよく届きます。

しかし、それに対処するには、「スルーする」という方法しかありません。

「受け流す」「気にしないようにする」ということです。

世の中、いろいろな人がいます。喫煙スペース以外でタバコを吸っている人。おしゃべりしながら道をふさいでいる女子高生。レストランで走り回る子どもと注意しない母親。

そんな「ムカつく人たち」を見るたびに、あなたはイライラし、怒りがこみ上げて、アドレナリンが分泌され、交感神経が優位になるのです。

心が乱されて、脳のパフォーマンスも低下する。それが1日に何度もあれば、ストレスホルモンも分泌されます

「ムカつく人」を1日3回目撃した場合、1ヵ月で100回もムカつきます。

1年で1200回。30年で3万6000回……。

毎日毎日、それだけストレスを受け続けるとするならば、それだけで病気になってもおかしくないほどです。

では、「正義感が強い人」は、どうすればいいのでしょうか?

「マスクをしていない人を見たらイライラします」自分の正義感へのストレス対処法Photo: Adobe Stock

考え方を変える「魔法のひと言」

じつは、「正義感が強い」という人は、ネガティブな側面から見ると、「エゴが強い」という見方ができます。

つまり、客観的に自分を見れていないのです

世の中、いろいろな人がいます。あなたが他人の迷惑を気にしているように、あなた自身も誰かの迷惑になっているのに、それに気づいていないだけかもしれません。要するに、お互い様です。

人間は、相手をおとしめて見ることで、自分の価値を確認し、安心を得る生き物です。それは、心理学的に、実に自然なことだと言われています。

「世の中、いろいろな人がいる」「ああ、こんな人もいるんだ」「マナーが守れない人もいるんだ」と、少し客観的に見られる感覚は、「他者承認」と呼びます。

他者承認をする。つまり、自分の「考え方」を少し切り替えるだけで、「ムカつく人」を目撃したときのストレスはすべて受け流すことができます。

あなたが今、「ムカつく人」にストレスをかけられているならば、やがてそれが病気を呼び、ストレスに殺されてしまうかもしれません

それは、とても残念なことです。

あなたが「ムカつく人」は、日本中に何百万人もいるでしょう。それをいちいち注意して歩くのは、現実的ではありません。

相手を変えるのか。自分を変えるのか。

ムカついた人を見るたびに、「まあ、そういう人もいるよね」とつぶやいてみてください

それが、ストレスを受け流す練習です。そんな簡単な対処法、そして健康法はないのです。

街でムカつく人を見たら、「まあ、そういう人もいるよね」。

ぜひ、これを覚えておいてください。最初はイライラが収まらないような人も、ひと月もすれば、一瞬でイライラを消せるようになります。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ70万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、16万部『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、10万部『神・時間術』(大和書房)など、30冊以上の著書がある。

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