思わず誰かに話したくなる鉄道なるほど雑学都営新宿線直通の京王線 Photo:PIXTA

鉄道アナリスト・川島令三氏の新刊書『思わず誰かに話したくなる鉄道なるほど雑学』の中から、鉄道に関するディープなウンチクをご紹介。今回は、線路のレール幅(軌間)から振り返る、日本の電鉄各社がたどった歩みについての雑学です。

日本のレールの標準軌は
なぜ広くなったのか

 通常の線路は2本のレールと枕木で構成されている。その2本のレールの内側の間隔を軌間(ゲージ)という。

 新幹線が採用している軌間は1435mmである。この幅を「標準軌」という。私鉄を含め、多くの在来線の軌間は1067mmで標準軌より40cmほど狭くなっており、この軌間のことを「狭軌」という。

 在来線のほうが幅が狭いから狭軌というのは納得できるが、新幹線の1435mm軌間をなぜ標準軌というのか疑問が出てくる。

 じつは新幹線が開通する前は、日本では1435mm軌間のことを広軌といい、1067mm軌間を標準軌としていた。国鉄が標準的に採用していたためである。

 広軌は、首都圏では京急や京成、そして地下鉄銀座線・丸ノ内線、都営地下鉄浅草線、箱根登山鉄道小田原(現在は入生田)―強羅間、関西では近鉄の多く、京阪、阪急、阪神、山陽電鉄、大阪高速電軌(大阪メトロ)、名古屋市営地下鉄(東山線、名城線、名港線)、四国の高松琴平電鉄、九州の西鉄などの私鉄、地下鉄が採用していた。他の大部分は、国鉄と同じ1067mmだった。

 しかし、これは日本国内でのことであり、国際的には1435mmが標準軌だった。新幹線が開業する前は広軌という言い方のほかに「国際標準軌」と言うこともあり、これに対応して1067mm軌間を「日本標準軌」という言い方もされていた。