このような話は、枚挙にいとまがない。

 中国の食習慣を知らずに、もし、「大食いチャンピオン」のような人がすべての料理を食べ尽くしてしまったら、むしろ、それは中国人のホストにとっては「お客さんを満足させられなかった」「足りなかった」と屈辱を感じ、悲しむべき事態なのである。

中国の「食べ残し文化」に対して
習近平国家主席が警鐘

 実は、こうした中国の食習慣にも変化が起きている。

 日本のマスメディアでもすでに報じられているが、先述したように習近平国家主席が8月11日、「節約を励行し、浪費を反対せよ」と発言したのだ。「今の中国の食べ残しの現状を目にして衝撃を受け、心を痛めている」とも語り、警鐘を鳴らした。

 これに呼応するように、中国新華社をはじめ、中国の主要マスコミが一斉に国民に向かって、食べものを大切にする重要性を訴え始めた。食べ物の浪費を根絶するキャンペーンが早々に始まったのだ。

 SNSを見る限りでは、国の呼びかけに賛同する声が多い。もともと現在の60代の人たちは、餓えた経験をした世代であるからだ。

結婚式の披露宴でも大量の食べ残しが発生する。中国のSNSで拡散されている写真
結婚式の披露宴でも大量の食べ残しが発生する(中国のSNSで拡散されている写真)

 中国の歴史の中で、食料不足で多くの人が亡くなった時代は、それほど遠い昔のことではない。特に1959年~1962年の「3年自然災害」と呼ばれる間には、農村を中心に4000万人が亡くなった。このような大飢饉があり、その後も食料配給制が続いた。

食料が豊富なのは
大都市だけ

 経済が発展し、昔より豊かになった今日。外食でのおびただしい食料の浪費は「飽食の時代」の証かと思いきや、裕福な都市部だけにとどまる。現在でも、内陸の貧困地域においては、約1億人が満足する食事ができていないのが実情だ(※筆者注:上海などの大都市では食料は豊富だが、これら大都市の意識の高い人々は地方都市の人々に比べると、むしろ少なめに注文し、食べ残す量は少ない傾向にある)。

 そして、そのような地区の小中学校の給食は、ご飯のほかは、ジャガイモや野菜炒めなどの献立ばかりが続く。バランスが取れてない食事を摂取しているため、栄養失調の子どもが多く、都会の子どもと比べると、身長と体重の数値がともに低いという統計データがある。

 このような「食の格差」の現実に、SNSでは、たくさんのコメントが寄せられている。