「空想力の豊かな子」の親がしているたった1つの習慣Photo by Adobe Stock

新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を紹介する。

のびのびと「落書き」をさせてあげる

 子どもは落書きの天才です。小さなころは壁や床、小学校に入るころには教科書やノートにも……。

 落書き=いたずら、というイメージがあるかもしれませんが、じつはいま、落書きが脳をリラックスさせ、創造力を発揮できる方法のひとつであることがわかってきています。

 落書きによって脳がリラックス、つまり非集中の状態になると、「脳の扁桃体の活性化が抑えられ、前頭極が活性化し、創造力が高まる」と、ハーバード大学の精神医学者、スリニ・ピレイ臨床准教授はいっています(『ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法』ダイヤモンド社)

 落書きは、意識の壁を壊し、無意識の自己を呼び覚ましてくれる大事な時間なのです。では、子どもにのびのびと「落書き」をさせてあげるにはどうすればよいでしょうか?

壁一面を落書きスペースにする

 ウォールステッカーといって、壁一面を黒板やホワイトボードにできる便利な壁紙が手頃な値段で売られています。

 黒板はインテリアとしては深い緑が目にやさしく、部屋が落ち着いた感じになる反面、チョークの粉が部屋を汚してしまうのではないかとの心配もありますが、最近では粉が飛ばないチョークもあります。

 ホワイトボードは発色がきれいですが、専用のペンがチョークよりも割高で、洋服についたときに落ちにくいことも。

 それぞれメリット、デメリットがあるものの、どちらを選んでも子どもにとっては間違いなく楽しい空間になります。

消せるマーカーやクレヨンを使う

 壁を落書きスペースにすることが難しい場合でも、「キットパス」という、ガラスに書いても濡れた布で消せる優れもののペンがあり、子どもは窓ガラスに思い切り落書きができます。また、濡れた壁に書けるタイプもあり、お風呂の中でも落書きができます。

『らくがき絵本』シリーズを使う

『らくがき絵本』(ブロンズ新社)は、「らくがきこそが絵のはじまり」と、絵本作家の五味太郎さんがつくった絵本シリーズで、世界中で楽しまれています。

 空っぽのお鍋やでこぼこ道、こんな音のする絵を描こうとか、気の毒な犬を描こうとか、落書きをするためのユニークなテーマがたっぷりあり、子どもと一緒に大人も創造力が弾ける内容になっています。

落書き好きは大成する

 ピレイ准教授は、2007年までの44人のアメリカ大統領のうち、26人は落書き好きだったといっています。

 大統領のように、同時に複数の重要な仕事をこなさなければならない場合でも、落書きのような非集中の時間をとることで、時間の使い方がずっと効率的になることがわかっています。

 たとえばグーグルのような企業が、社員にゲームやスポーツ、ジムの設備を提供しているのは、そうした根拠があるからです。

 落書きを通じて脳をリラックスさせたり、ふたたびギアを集中モードにしたりという脳内の切り替えが子どものころから育まれると、創造力や思考力などが高まるといえます。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)

参考文献

五味太郎『らくがき絵本』(ブロンズ新社)

スリニ・ピレイ『ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法』(千葉敏生訳、ダイヤモンド社)