肝臓を休ませたいなら、食べすぎにも注意しよう

 肝臓を上手に休ませるコツは、必要以上の仕事を与えないことに尽きます。肝臓といえばアルコール分解のイメージがありますが、お酒の問題だけではありません。1日に必要なカロリーを超えた分は、余分なエネルギーとして肝臓が処理することになる、と覚えておきましょう。

 たとえば、ご飯などの糖質は肝臓でグリコーゲンに変わり、さらに余った分は脂肪へと変えられます。食べた脂も肝臓で脂肪酸になります。飲みすぎはもちろん、食べすぎも肝臓に負荷をかけるのです。

 また、食事や飲酒「量」をおさえることも大切ですが「回数」も重要です。何かを食べれば、少なからず肝臓を働かせてしまうことになります。いくら食事量を減らしても、ダラダラと間食をしていると、肝臓が休まることはありません。疲れているときは、思い切って一食抜くプチ断食をすれば、“工場”の稼働をおさえられるのでおすすめです。

 なお、肝臓向けの健康食品やサプリもありますが、それらも結局は肝臓が処理するので、とりすぎには注意しましょう。肝臓をケアするには、やはり過剰に働かせないのが一番です。

(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)

秋津壽男(あきつ・としお)

秋津医院院長。1954年和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局。心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998年に東京都品川区戸越銀座に秋津医院を開業。下町の一次医療を担う総合内科専門医として絶大な支持を集める。現在、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。ベストセラーとなった『長生きするのはどっち?』『がんにならないのはどっち?』シリーズ(あさ出版)ほか、著書多数。新刊『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)が2020年9月16日に発売。