Q:最古のコウモリ「オニコニクテリス」は、なぜ滅んだ?
続いては、約5250万年前、北アメリカに生息していた原始的なコウモリ「オニコニクテリス」。
知られている限り、最古のコウモリである彼らは、どうして絶滅したのでしょうか?
A:絶滅理由⇒「超音波が出せなくて絶滅」
『も~っと わけあって絶滅しました。』では、その絶滅理由をこんな風に説明しています。
何度木に頭をぶつければいいの!? やんなっちゃう!
およよ!? 後ろに見えるは、にっくき小娘イカロニクテリス!
こらっ! その虫はあたしが先に追いかけてたんだから~!!
はあ…。あたしは世界初の飛べるコウモリの末裔なのよ!? なのに、あの娘との勝負には負けてばっかり(トホホ)。
鳥がうじゃうじゃいる昼間をさけて夜に活動するっていうアイデアは、我ながらサイコーだと思ったんだけどナァ。
……んもうっ! どうしてあんな超音波を出す娘が進化してきたわけ?
超音波が周りのものに当たってはね返ってくる音を聞いて、暗闇でもぶつからずに飛べちゃうなんてズルいよ~。
暗い夜は眼だけじゃ限界! 超音波とか火炎とかあたしも出した~い!
ちょっと解説
オニコニクテリスは夜行性で、夜に活動していました。
しかし、超音波で周りの様子を探る能力はなく、眼に頼った狩りをしていたようです。暗闇を飛びながら小さな昆虫を捕まえるのは、眼に頼った狩りでは限界があります。
しかも、同じ時代には、すでに超音波で狩りをするイカロニクテリスが現れていました。超音波で昆虫を探して捕まえる進化したコウモリが増えていったため、彼らは絶滅してしまったのでしょう。
東京水産大学(現東京海洋大学)卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。文部省(現文部科学省)の国際生物学事業計画(IBP)調査、環境庁(現環境省)のイリオモテヤマネコの生態調査等に参加する。上野動物園の動物解説員を経て、東京動物園協会評議員。おもな著書に『野生ネコの百科』(データハウス)、『動物行動学入門』(ナツメ社)、『猫はふしぎ』(イースト・プレス)等。監修に『ざんねんないきもの事典』シリーズ(高橋書店)等。単独性でひっそり暮らし、厳しい子育てをする、チーターやヒョウ等のネコ科の動物が好き。
動物ライター、図鑑制作者。ネイチャー・プロ編集室勤務を経て、ネゲブ砂漠にてハイラックスの調査に従事。『ざんねんないきもの事典』『続ざんねんないきもの事典』(ともに高橋書店)の執筆や、『せつない動物図鑑』(ダイヤモンド社)の編集、『生まれたときからせつない動物図鑑』の監訳等を手がける。好きな動物はツチブタ。理由は、たった1種でツチブタ目を構成する孤高さや、シロアリ食なのに伸び続ける臼歯をもつ独自性等、あらゆる点でかっこいいから。