世界進出を前提に作る韓国
内輪向けに作る日本

 韓国では、コンテンツを海外に輸出することにも重点が置かれている。このため、最初から全世界で配信されうるクオリティーが求められるという。

「韓国は人口が少なく、その分マーケットも小さいので海外に作品を輸出する前提で制作します。国もその重要性を理解し、準行政機関の韓国コンテンツ振興院というコンテンツ産業を育成する総合支援体制の構築を進めています。アメリカ、日本、ヨーロッパなどにビジネスセンターを置いて、コンテンツの輸出に寄与しています」

 ちなみにこの振興院は映画やドラマの制作費の補助、人材の養成なども行っている。また前述の配信サイトの登場と、制作現場の多さも結果的に韓国産ドラマの輸出増加に追い風となった。

「これまで海外に売るための脚本や画作りのノウハウをさんざん積み重ねてきたところに、圧倒的な仕事量も備わりました。さらに、配信サイトの登場で輸出が容易になったことで、韓国はコンテンツ大国となりつつあります」

 映画『パラサイト』が外国語映画で初めてアカデミー作品賞を受賞したことからもわかるように、韓国のコンテンツは世界に認められるようになった。一方、日本は大きく水を開けられているようだ。

「そもそも日本は海外にドラマを売るという発想がない。『自国でウケればいい』という考えも悪くはないですが、それで質の高い作品が作れているかは、甚だ疑問。いまだに7年前の銀行マンの作品や、いつも同じような演出のヤンキー作品を作っているのですから。映画もドラマも隣国に差を付けられ続けています」

“クールジャパン”とは名ばかりの日本のコンテンツ政策では、いつまでたっても内輪向け作品しかできないのだろう。