公開規模100億円以上企業の上場後パフォーマンス分析

次に、公開規模100億円以上で上場した47社についても、同様に分析していきます。初値騰落率を見ると、先程見た100億未満の企業群に比べると、多くが0%近くに集中しており、大きく高騰する会社は稀です。

一方、直近株価のパフォーマンスを見ると、傾向が読み取りづらい。

ここから仮説として言えることとしては、上場後株価の初値への依存度が、100億円未満の企業群に比べて下がってる、ということではないかと思います。分布を分析しますと、74%の会社で、公開価格に対して初値が上回っています。

100億円未満の群では、90%の企業で初値が勝っていましたので、比較すると少し数が下がっています。また、対初値10%に最も多くの会社が集中しており、堅調さが伺えます。100億円未満の群では、大多数が対初値130%に集中していたことと比較しても、初値依存度が下がっていると言えると思います。

続いて、初値以降のパフォーマンスを見てみましょう。絶対パフォーマンスで見ると30%の会社が初値以上の株価をつけ、相対パフォーマンスで見ると、日経平均に対して40%の会社がアウトパフォームしています。

すなわち、初値以降でも十分パフォーマンスが出る会社があったということが見て取れます。これらを合算した、公開価格以降のパフォーマンス分布を見ると、57%の会社がアウトパフォームしている。

先に見た100億円未満の企業群では、この数字が55%でしたので、一見同じような結果に見えますが、中身は全く異なります。100億円未満の企業群では初値依存度が高く、初値以降は極めて厳しい選別が起きています。100億円以上の企業群では、初値依存度が低く、初値以降もそれなりのパフォーマンスが出ているケースがある、このような違いがあると考えています。

また、この100億円以上の企業群を、さらに公開規模200億のラインで分解しました。

傾向は似ていますが、100億以上200億円未満の企業群では初値騰落率が高く、一部それ以降パフォーマンスが良くない、すなわち100億円未満の企業群に似た動きをする会社もありました。この規模では、初値以降持ちこたえる会社が点在しているとはいえ、引き続き初値依存のIPOの特徴が見てとれます。公開規模200億円以上になると、実は初値割れしている会社が多い。

ですので、公開価格がフェアプライスに近い価格となっていて、IPO後、初値以降のパフォーマンスで選別が進んでいるという状況が見えてきます。公開規模が200億円を超えてくると、より、初値以降、アフターマーケットでしっかり選別がされていくのだと考察できます。

ここまでで見えてきたことは、IPOの規模と初値以降パフォーマンスの関連について、公開規模100億、200億のラインで特徴が現れるということです。