セブンのオーナー激白、コンビニ本部の「ドミナント戦略」で困窮する実態写真はイメージです Photo:PIXTA

「休みは週1日未満。週70時間働いて、年収は生活に困窮するレベル」「毎日1万円以上の食品を捨てることを強要される」「繁盛店になったと思ったら同一チェーン店が次々と出店してくる」――これらは、どれも実際にコンビニで起きていることである。どうしてこんなことになっているのだろうか。「コンビニの闇」(ワニブックス)から抜粋して、とあるコンビニ店長の苦悩を紹介する。

本部による契約の更新拒絶問題

 年中無休24時間営業の強制、高額なロイヤルティ、コンビニ会計(廃棄ロスのほとんどを加盟店が負担するという会計方式)といったコンビニ加盟店オーナーを苦しめる契約内容がまかりとおっているのがコンビニフランチャイズ契約の問題である。

 それなのに、「契約内容がおかしい」、「不当だ」と声をあげるコンビニ加盟店オーナーは少ないのはいったいなぜであろう。どうしてコンビニ加盟店オーナー達は、文句すら言わず、黙ってこれらの契約に従っているのであろうか。もちろん、契約に従わなければ、契約違反となり、加盟店は本部から損害賠償を請求される。だから、コンビニ加盟店オーナーは契約にしたがっているという側面はある。

 しかし、コンビニ加盟店オーナーが本部に文句も言わず黙ってしたがってしまう大きな理由が、他にもある。それは、契約の更新である。

 契約期間の満了が近づくと、契約を更新するか、すなわち、コンビニ加盟店オーナーがこれからも店舗の経営を続けられるかどうかについて、本部とコンビニ加盟店オーナーで話し合いが行われる。両者の合意ができれば、契約は更新される。両者の合意で契約が更新されるということは、本部とコンビニ加盟店オーナーの合意が無ければ契約が更新されないということである。

 つまり、本部の恣意的な判断によって契約の更新拒絶ができてしまうということになる。本部は気に入らないコンビニ加盟店オーナーを切り捨てることができるのである。

 コンビニ加盟店オーナーは多額の投資を行って、コンビニ経営を始めている。コンビニ経営に人生をかけるつもりで個人資産のほぼすべてを投資、それどころか借金をして始めた人も少なくない。このようなコンビニ加盟店オーナーが契約の更新を本部に拒絶されたら、どうなるのか。収入の途を断たれるばかりか、投資の回収ができず、借金が残ってしまう場合もあるだろう。財産を失い、明日からの生活の糧をも失うことになってしまうのである。

 だから、コンビニ加盟店オーナーは本部による契約更新拒絶に怯え、その意向に逆らうことなどできないのである。契約の更新拒絶の権限を持つことによって、本部は、たとえそれが無理難題であっても、コンビニ加盟店オーナーを従わせる力を持ってしまっているのである。

 それでは、実際にどのようなことが起きているのか、筆者が現役のコンビニ加盟店オーナーから伺った話をしよう。