新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。
結果はどうでも「後悔」しないようにさせてあげる
2020年から改訂された学習指導要領では、これまでの知識や技能の習得を目的とした教育だけでなく、対話を通じて主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」が取り入れられています。英語は小学校から教科になり、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を活用し、表現力を身につけることが重視されるようになりました。
こうした改革の流れを受けて、公立・私立を問わず、既存の学校がカリキュラムを大きく変えたり、通信制、全寮制やインターナショナルスクールなど学校の多様化も進んでいます。
数々の選択肢から学校を選ぶには「学校に何を求めるのか」というブレない軸が必要になってきます。とくに中学・高校時代は人格が形成される時期であり、その大半の時間を過ごす学校をどう選ぶかは、子どもの成長に大きな影響を与えます。
上手に学校選びをして、子どもに後悔しないようにさせてあげるには、親はどうすればいいでしょうか?
【その1】地元の公立か、中学受験をするか決める
地元の公立に進むメリットは、お金がかからず、家から近いこと、小学校から一緒の友だちが多くて安心なこと、小学校時代にたっぷりと遊べることなどが挙げられます。
一方、中学受験を選ぶと、幼い子どもに塾で勉強させるなどハードな時間を過ごさせることになります。また、経済的な負担も大きいです。塾代もかかるうえ、私立の場合は学費も安くはありません。
それでも中高一貫校に入ってしまえば高校受験がないため、時間的にも精神的にも余裕ができるというメリットはあります。部活や行事、課外活動などやりたいことに思い切り打ち込み、のびのびした6年間が過ごせます。
【その2】中学受験のために「塾」を選ぶ
中学受験をする場合には、小学3年生の2月から入塾するのが一般的です。
大手塾は教材、カリキュラムとも洗練されている点で安心です。ただし、教材の整理やスケジュール管理など、親のサポートが必要な塾もあり、塾を決める際には実績やレベルだけでなく、家庭の状況と合うかどうかの見極めも重要です。
個人経営の塾や個別指導は玉石混淆ですが、子どもにとって相性のよい先生と出会えれば、大手にはない手厚い指導が受けられます。
【その3】学校に求める「軸」を決める
最初から条件を限定しすぎず、いろんな学校へ足を運んでおくと、学校を選ぶ目が養われます。
中学受験に詳しい教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、「学校を選ぶ際のコツ」を4つ挙げています。この4つの観点から学校選びの軸を決めれば、気に入る学校が見つけやすくなるでしょう。
①男女別学か共学か
別学は異性を気にせず、のびのびと過ごせるというよさがありますし、共学は個性がより幅広く、多様な環境に身を置けるというよさがあり、それぞれに魅力があります。
②学校の歴史や設立の背景
ここは保護者からあまり重視されないところですが、おおた氏は、じつはこれも子どもに大きく影響するといいます。実際にはそれぞれに個性をもつ生徒たちが、共通の「らしさ」のようなものを身にまとって卒業していくことになるからです。
この「らしさ」を見極めるには、校長に注目するとよいそうです。校長の立ち居振る舞いそのものが、建学の精神にうたわれている人物像を反映しているといいます。
③自由と規律のバランス
これを確認するには、文化祭でどのくらい生徒たちに自由が与えられているかが目安になるとおおた氏はいいます。
また、学校見学で校長、先生、生徒とのあいだで気さくに会話ができているかを見るのも、自由と規律のバランスを見るポイントだそうです。
④進学実績を前面にアピールしているかどうか
進学実績を前面にアピールしている学校は、受験対策に重点を置いたカリキュラムになっていることが多く、優れた進学実績があってもアピールしていない学校では、幅広い一般教養や思考力を育むカリキュラムになっている場合が多いようです。
【その4】「なにがなんでも第一志望」と考えない
子どもの受験で気をつけたいのは「第一志望に受からなければ負け」という発想に陥らないことです。
ふだんから「どこも魅力的だから全部合格したら困るね」というくらいの意識で、子どもがどの学校に決まっても喜んで進学できるよう導いてあげることが大切です。
(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)
「おおたとしまさ氏に聞く、中学受験『志望校選び』のコツ」(リセマム、2019/1/30)