政治家を目指す新人候補の
「ターゲット層」選び

 自分が立候補して当選できそうな選挙区を選ぶところから選挙戦は始まっている。最下位でもいいが、当選できなければならない。鈴木たつお氏が立候補した19年の東村山市議会の選挙では有効投票数約5万8000に対して、トップ当選が約3900票、最下位当選は1427票だった。

 一般的な地方議会選挙では、2〜3%程度の支持率を得ると1人当選でき、政党は自党の支持率から計算できる基礎票による当選可能数プラスαに相当する程度の候補を立てることが多い。

 鈴木議員は、主義主張がどうしても相いれないという事情がなければ、支持率が高い政党の公認を得ることを勧める。ただ、19年の選挙で彼を公認してくれたのは、当時決して人気があるとはいえない(ある全国調査では支持率0.8%)の国民民主党だった。加えて、当時の自由党の推薦を得ていたが、合わせた基礎票を1%とみても580票であり、当選ラインを3%として1740票を得るために、彼は1000票以上の票を「自分でつくる」必要があった。条件は厳しい。どうするのか?

 詳しくは発売後にこちらの書籍に当たっていただきたいが、鈴木氏がターゲットにしたのは、主に40〜50代の働く層だった。調査によると、党派や主義よりも「人物本位」で選びやすい層がこの年代で、どちらかというと女性が多いという。東村山市にはこの層の投票者数が約2万人いて、無党派層を40%とすると、8000人が鈴木氏の選挙マーケティング上の主なターゲットとなる。この中から千数百人の票を獲得することを目指した。

 ここからマーケティングを精密にしていく。鈴木氏は、政策のリーフレットをどの場所で何時に配ると、どのくらい受け取ってもらえるかを選挙の2カ月前に試した。そして、そのデータに基づき、演説の場所と時間を決める参考にした。

 鈴木氏は、働く層に対してアピールになるに違いない、都心への通勤の利便性改善を政策として訴えていた。そのため、街頭演説の場所として駅前、時間は通勤時間を重視した。

 選挙区内で活動するときの服装は、「あっ、鈴木たつおさんだ」と記憶に残り、遠くから見ても分かるように、濃紺のスーツ、白のワイシャツ、ピンクのネクタイに統一。もちろん、選挙ポスターの写真はプロが撮影する。