GAFAPhoto:SOPA Images/gettyimages

米国司法省が20日、米グーグルを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで連邦地裁に提訴した。そしてこの問題はどうも、グーグルだけで終わりそうにない。GAFAと呼ばれる米国巨大企業が次々と、「ずるい手」を追及される事態になりそうだ。『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)の著者で、デジタル市場の規制に詳しい経営共創基盤の塩野誠氏は、「これから米国の政界では、GAFA解体論が大きな焦点になる」と指摘する。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

グーグルたち巨大企業は
革新を阻んでいる

 今回の問題をめぐっては、訴訟の「大義」を理解することが重要だ。今回の大義とはすなわち、グーグルが米国のイノベーションを阻害しているという点にある。

 日本では独禁法は、強い企業が市場を独占し、価格操作することを防ぐ法律という認識が強い。これに対し米国の独禁法が防いでいるのは、価格操作だけではない。競争環境を自由かつ公正に保つという使命がある。この競争環境を守ることで初めて、企業が正当な自助努力としてイノベーションに取り組み、その結果、革新的で付加価値の高いプレーヤーが出現する。

 つまり米国が強く豊かであり続けるために、独禁法はきちんと機能しなければならないのだ。

 ではこの観点で、グーグルはどう判断されたのか。グーグルはパソコンの検索エンジン市場を後発企業でありながら見事に競争に勝ち抜き、市場を独占した。その結果、巨額の広告収益を得た。ここまではだれもが認めるフェアな競争だ。