秒単位ではなく「年単位」で
じっくり考えられる理由
──徹底的に効率化された今のルーティンにたどり着いた経緯を教えていただけますか。
土屋:ワークマンに入社する前、商社で働いていた頃は、まさに「ジャングル・ファイター」で、人任せにせず、何でも自分でやり、「秒単位」で動いていました。
駅のホームで1分以上待ちたくないので、地下鉄の時刻表を暗記していたくらいです(笑)。
でも、そういう生活をしていたときに、「このままでいいのか」という感覚があったんです。それまでの私は、時代の流れを感じると動かずにはいられなかった。興味のあるものに片っ端から手を出して……。
でも、そういう生活を続けていると、「小物」のままで終わってしまうんじゃないか。これ以上成長しないんじゃないか、そう思ったんです。
だから、ワークマンに入社するタイミングで自分を変えなきゃと決意し、秒単位ではなく「年単位」でじっくりと考える時間を持つようにしました。
幸いなことに、ワークマン創業者であり、叔父の土屋嘉雄会長からは「この会社では何もやらなくていい」といわれ、その後に、「これまでやってきたような小さな事業ではなく、やるならもっと大きな事業をやれ。そのためにもしばらくは腰を据えて勉強しなさい」といわれていたので、まずは2年間、考える時間がありました。
財務データを読んだり、社員にヒアリングをしたりしながら、自分自身の改革も進めていたのだと思います。
商社時代とは部下への接し方も変わりましたね。
商社時代は、何でも「すぐに回答してくれ」とか、仕事の順番も考えず、「自分の仕事だけを優先してくれ」とか言っていたんですが、今は「自分の仕事は後回しでいいよ」「残業してまでやらなくていい」と伝えています。
自分の考え方を100%変えて、自分が変わり、結果的に、会社も変わった。面白い人生です。