アルツハイマー
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 東京都健康長寿医療センターの研究グループによると、日本の若年性認知症患者は該当年齢(18~64歳)の人口10万人あたり、2.47と推計される。

 2018年4月1日~19年3月31日に全国440カ所(調査当時)の認知症疾患医療センターの年次報告から推計したもので、若年性認知症の発症率を把握する初の全国調査だ。

 調査期間中に若年性認知症と診断された患者は1733人で、認知症のタイプ別では、アルツハイマー型認知症が52.1%と半数以上を占めた。

 次いで性格の変化や問題行動が生じる前頭側頭型認知症が8.9%、脳梗塞などがきっかけの血管性認知症が8.8%、薬物や物質乱用が誘発する神経認知障害が7.1%、幻視やパーキンソン病様の症状がでるレビー小体型認知症が6.5%、他の神経疾患による神経認知障害が3.9%だった。

 若年性認知症患者は高齢(65歳以上)患者の1%にも満たないが、発症年齢が平均51歳で、世帯収入を支える男性に多い。病気の影響は深刻だ。17年の医療経済研究機構の調査では、雇用主が大企業であっても診断1年以内に14%が離職している。本調査の先行研究でも、診断後に7割の患者が退職や転職を余儀なくされ、6割で世帯収入の減少が生じる実態が報告されている。

 また、若年性認知症では配偶者が一人で介護を担うケースが多く、疲弊して共倒れになりかねない。認知症は40歳から介護保険が利用できるので、ヘルパーやデイサービス等をうまく活用してほしい。障害年金の申請や精神障害者保健福祉手帳の取得も考えておこう。

 若年性認知症に気がつくきっかけは、日付や自分がいる場所がわからなくなる「見当識障害」や、慣れている作業でミスが頻発する、物事への関心が薄れる、などだ。「認知症」とは思いもしないため、見当違いの診療科を受診して時間を無駄にしがちになる。

 症状に心当たりがある場合は、地域の認知症疾患医療センターや「もの忘れ外来」を受診しよう。笑い話で済めばよし、万が一の場合でも早期治療につながる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)