曖昧な副反応要件と
半端な無過失補償

 再び、ワクチンの安全性に関する話をしたい。

 残念ながら、事実として100%安全なワクチンは存在しない。一方で、社会を感染症から守るためには、多くの人がワクチン接種を受ける必要がある。その分、ワクチン接種により体調を崩した人は、社会が責任をもって救済しなければならない。

 安心してワクチンを受けるには、いかなる健康被害についても、因果関係の有無を問わず、速やかに補償が行われる(無過失補償)体制が必要だ。日本の予防接種法における補償は、無過失補償とされてはいるが、緩やかかつ形式的にも因果関係の有無を審議し認定するプロセスを要する。速やかな補償とは言い難い。

 米国の予防接種健康被害救済制度(VICP、Vaccine Injury Compensation Program)では、ワクチン1本あたり0.75ドル(混合ワクチンでは含まれるワクチンの種類に比例)の税を徴収し、それを原資に補償を行っている。どのような症状が補償の対象となるかは明確に定められており、公開されている(表)。

Vaccine Injury Table
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 さらに、米国にはVAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System)という、ワクチン接種後に起きたさまざまな体調変化を本人が申請できる制度がある。そこで蓄積されたデータが分析され、接種開始以前の統計データと比較して偶然とは言えない増加が見られると、新たにワクチンの副反応として一覧に加えられる。VAERSのデータはネットで公開されており、誰もが(反ワクチン研究者でも)アクセスでき、研究に利用して発表することも可能だ。

 日本の副反応認定には、VICPのような明確な基準がなく、詳細は非公開だ。VICPやVAERSのように、透明性の担保された仕組みが求められる。副反応の検証を適切に行える体制づくりこそが、ワクチンの信頼につながるはずだ。