何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。
会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、”あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする「裏ワザ」を紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!
「人間ドック」は、原則、控除対象外だが……
確定申告の時期になると、何が医療費控除の対象になるかという問い合わせをよく受けます。
基本的には、医療費控除の対象となるのは、「治療」目的のものです。「健康増進」や「予防」目的のものは、対象にはなりません。
では、「人間ドック」はどうでしょうか? 人間ドックや健康診断は、10万円を超えるところもあります。これを控除の対象にできれば、最高5万円程度の節税になりますが、人間ドックの目的は、「治療」ではなく、「予防」ですから、原則としては、医療費控除の対象にはなりません。多くの本でもそう書いてありますし、そう思っている方が多いと思います。
でも実は、人間ドックで重大な病気が見つかって、その治療を続けた場合は、人間ドック代も医療費控除の対象にできるのです。検査結果としては、「要治療・通院」「要再検査」「要精密検査」といったところです。重大な病気とは、がんや心疾患、高血圧や糖尿病、メタボなどです。メタボはちょっと意外な気もしますが、「高血圧症・脂質異常症・糖尿病と同等の状態と認められる」のだそうです。人間ドックで指摘される持病がある人は、人間ドック代を控除できる可能性が高いのでおトクとも言えますね。
これ以外にも、条件によって医療費控除の対象になったりならなかったりするものがあります。たとえば、補聴器は、医師の診断のもとで買ったものだけが医療費控除の対象です。整体も資格者が治療目的で行えば、医療費控除の対象です。医療費控除の対象となるか、ならないかはグレーゾーンも多いので、判断基準を知っていると、無駄なく控除が使えるため便利です。本書では、さまざまな医療費控除のグレーゾーンについて解説しています。ぜひご参考にしてください。