なお、完成した自筆証書遺言は封筒に入れて、実印で封をするようにしましょう。封筒に入れないと無効になるわけではありませんが、変造や破棄を防ぐためにも、封筒に入れてしっかりと保管しましょう。

遺言書を勝手に開封してはいけません

 次に自筆証書遺言の検認(けんにん)手続きについて解説します。

 自筆証書遺言は、相続発生後にすぐに開封してはいけません。家庭裁判所に封筒に入ったままの遺言書を持ち込み、他の相続人の立ち合いの下で開封する手続きが必要です。この手続きを検認といいます。

 検認は、遺言書の内容や状態を明確にし、その後の偽装や破棄等を防止するための手続きなので、遺言書そのものが有効か無効かを判断する手続きではありません。

 検認する前に開封してしまうと5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 勝手に開封してはいけないのですが、もしも、検認前に開封してしまった場合でも直ちにその遺言書が無効になるわけではありません。

 ただ、その後に、他の相続人から遺言書の変造等を疑われる可能性が高まるので、「遺言書を発見してもすぐ開封してはいけない」ということをしっかり覚えておきましょう。

 封筒に「すぐに開封してはいけません。家庭裁判所で開封してください」と注意書きを書いておけば安心ですね。

 また、よく「私たちの家族は仲が良いので誰かが遺言書を偽造するなんてことはありません。わざわざ裁判所に行って検認するのも面倒なので、省略しても問題ないですよね?」という質問を受けます。