世界が大きく変わろうとしています。米国のリーダーが変わる中で(厳密にはトランプ陣営は負けを認めておらず、1876年以来の下院での投票に持ち込まれる可能性もわずかにあります)、日本はこの先どう振る舞えばいいのでしょうか。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載11回目となる今回は、2021年以降に日本が取るべき姿勢について解説します。

2021年以降、日本は米国と中国の間を取り持つカギを握るPhoto:Adobe Stock

日本はこの先も「米国隷従」を続けていく

 世界がダイナミックに変わる中で、日本はどのようになっていくのでしょうか。

 現在の日本は日米同盟の上に成り立っています。米ソ冷戦時代、日本は日米同盟を軸に西太平洋における米国の“代貸”のような役割を果たしてきました。

 トランプ大統領と安倍晋三首相の関係は、レーガン大統領と中曽根康弘首相の「ロン・ヤス関係」、ブッシュ(子)大統領と小泉純一郎首相の関係に続き、「ドナルド・シンゾウ関係」と言われてきました。安倍首相は2020年9月に退任しました。決して否定的なつもりはありませんが、次の菅義偉首相が安倍首相と同じように順調に日米関係を続けられるかは未知数です。

 日本と米国の将来を探るには、温故知新で歴史に学ぶといいでしょう。

 日米関係はマシュー・ペリー提督が浦賀にやって来た時から始まりました。ペリー提督は江戸幕府や江戸の町民を威嚇するため、米国の独立記念日に祝砲を打ちました。これは空砲だと言われていますが、実際には実弾が込められていました。しかし林大学頭こと林復斎と交渉を重ねて日米和親条約を結ぶ際、日本人の知恵と日本国の備えを知り、態度を変えたとも言われています。

 その後、日米修好通商条約を結ぶに当たり、交渉相手だった岩瀬忠震(林復斎の甥)の外交力を目の当たりにして、日本に畏怖を感じたと日記に書かれています。

 この頃の日本と米国は、どれほど国力に差があったのでしょうか。