日本が米国と中国の間を取りもつ

 トランプ政権下で日本は多額の兵器を買わされ、それに対する不満が募っています。これをして「米国隷従である」と嘆く人も少なくありません。また中国との長く続く本格的な冷戦を決意した米国は、日本にも中国との関係について二者択一を迫っています。

 一方で日本は、憲法九条の下で戦力の不保持を守らなければなりません。日本の自衛隊にはかなりの軍事力があると思いますが、日本国憲法は自衛隊による戦闘を認めていません。自衛隊の代わりに戦ってくれるのは米軍です。

 横田基地はもともと韓国防衛のためにあると言われてきましたが、仮にこの先、朝鮮半島が統一されても、横田基地が日本に返還されるまでには時間がかかるはずです。

 こうした安全保障面の日米関係が影響することを反米を掲げる人々は「従属主義」と言って批判しています。

 しかし私は現在の日本が置かれた状況は決して悪いものではないと思っています。

 戦闘によって自衛隊員の命が失われるような事態に陥るくらいなら、米国から戦闘機を買う代償として米軍に日本を守ってもらうというのはなかなか上等な駆け引きと言えます。

 米国の力に頼っていくなら、一方の中国とはどんな距離感で付き合っていくのでしょうか。隣国の中国とも良好な関係であるべきです。

 私はこの先、米国と中国の新しい冷戦がより深刻な状況になったとしても、日本と中国が良好な関係を維持する方法はあると信じています。そんな方法がなければどんな手を尽くしてでも、その方法を見つける必要があるでしょう。

 むしろ、日本には米国と中国の間を取りもつくらいの気概が必要です。

 そもそも日本には米国隷従しか選択肢はありません。第二次世界大戦で負けてから現在までの日本は米国の傘の下で経済発展という果実を手にしてきました。今後もそれを続けていけばいいのです。

 戦後75年続いた弱い国にも強い国と等分の権利や力を与える平和でフラットな社会は、終わりを迎えました。

 これから先、世界の主要国はそれぞれが自国のメリットを追求し、条件の合う範囲で互いに手を組んだり、派閥をつくったりするのでしょう。

 民主主義やグローバリゼーション、自由貿易という思想の下で世界の人々が同じように経済発展の恩恵に浴していた時代はもう終わりました。

 世界は、新しいルールで動き始めています。

 日本はこの先、どんな方向へと進めばいいのでしょうか。

 単なる米国の周辺国として存在感を薄めていくのか、それとも「ファイブ・アイズ(米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)」の一角に食い込むのか。

 どちらの道を進むにしても、まずは新しいルールを知ることから始めなくてはなりません。

 決して、これまでのような平易な道ではありません。

 困難な世界で、私たちは生き残っていかなくてはならないのです。

 新しい秩序(ルール)が支配する世界で、生き抜いていきましょうーー。