今年で3回目となる「輝け!お寺の掲示板大賞2020」。前回、前々回と大賞以下の受賞作品をご紹介しました。今回は本連載、2020年の最終回となります。残る4つの受賞作品を順次ご紹介して参りましょう。
地球は子どもたちから借りたもの
ずいぶんカラフルな掲示板ですね。子どもたちのかわいらしい姿が大変印象的なこの作品は、新潟県長岡市にある真言宗豊山派の寺院「千手観音千蔵院」に掲示されたものです。
描いたのは住職の諸橋精光師。絵本作家、紙芝居作家としても大変有名な方で、過去にはその功績がたたえられ、正力松太郎賞などを受賞しています。この作品は「中外日報賞」を受賞しました。受賞作としては珍しく、言葉よりも絵が主体となっています。
「地球は先祖から受け継いでいるのではない。子どもたちから借りたものだ」。これは『星の王子さま』でよく知られているフランスの作家で飛行機乗りでもあるアントワーヌ・ド・サン=テグジュベリの言葉です。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。肝心なことは、目に見えないんだよ」など、数々の名言を残しています。
宗教と文化の専門新聞である「中外日報」からの講評の言葉はとてもシンプルです。
地球を未来への贈り物として大切にしようというメッセージと絵のハーモニーが心に響く。
絵の素晴らしさはもちろんのこと、ここに書かれている言葉はネイティブアメリカンが伝えてきたものでもあり、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」にも通じています。地球は決して私たちの専有物ではありません。自然破壊や地球の温暖化が急速に進んでいる今だからこそ、子孫の視点から語りかけてくるこの言葉が心に響くのだと思います。