初公判が開かれたのは9月30日。白石被告は緑色の上下つなぎの服で入廷した。黒いフレームの眼鏡にマスクを着け、ぼさぼさで肩まで伸びた髪の毛。開廷前、全員が立ち上がって一礼するのがマナーだが、裁判官と裁判員が入廷しても着席したままで、刑務官に促されて面倒くさそうに立ち上がり、礼をせずにそのまま座り直した。

 罪状認否では間延びした声で「え-、間違いありません」と起訴内容(判決と同内容)を全面的に認めた。検察官の起訴状朗読の間、首を傾けたり、椅子にもたれかかって脚を投げ出して広げたり、何度も背中をかく仕草も。

 人定質問でも、けだるそうに証言台に。生年月日や住所、職業を尋ねられた際にもはっきりと答えるものの、緊張感は微塵も感じられなかった。

 検察側は冒頭陳述で、白石被告は17年3月にツイッターを開設。自殺願望がある女性を狙い、一緒に死のうとだましていたと指摘した。8月23日ごろ、最初に神奈川県厚木市の女性会社員(当時21)を殺害後、犯行を重ねた理由を「働かずに金を手に入れることができ、性欲も満たせると考えた」と説明。10月下旬までのわずか約2カ月間に9人に対し、前触れなく首を絞めて殺害したのは「承諾によるものではなく、ただの殺人だ」と指弾した。

 遺体については証拠隠滅のため切断し、肉片や内臓は一般ごみとして遺棄。頭部は自宅アパートのクーラーボックスに入れて放置していたとした。

 弁護側は冒頭陳述で「被害者に死を望む気持ちがあり、被告によって実現されることを想定していた」とし、殺害は承諾の結果で、量刑の軽い承諾殺人罪を主張した。強盗についても被告が金銭を得ることは承諾しており、成立しないとした。強制性交や死体遺棄・損壊の罪は争わない姿勢を示した。

 また弁護側は刑事責任能力について争う方針を示したが、検察側は「被告は一貫して目的にかなった行動をしている。責任能力に問題はない」と反論した。

自殺の意思撤回も躊躇なく殺害

 第2回公判は10月5日に開かれた。被害者がSNSに自殺願望を投稿していたことを巡って、争点となっている承諾の有無について、弁護側証人の精神科医は「死にたい気持ちを積極的に表現できなかったり、周囲も気付かなかったりすることもある」「今後の予定を入れても、自殺することはある」としつつ「死について深く考えていたとしても、自殺する決心がついたとはとらえないほうがいい」と説明した。

 また、3人目までの審理が行われ(A)厚木市の女性、(B)群馬県邑楽郡の高校1年女性(当時15)、(C)神奈川県横須賀市の介護支援員男性(同20)までの冒頭陳述で検察側は、3人は白石被告に「生きていこうと思います」とメッセージを送るなど自殺の意思を撤回していたことを明らかにした。そして「被害者は白石被告の殺害計画を知らなかった。自殺願望と承諾はイコールではない」と強調した。