「とりあえず3年」という言葉の罠

──会社で働いていると、「逃げちゃダメだ」と思って無理してしまう人も多くいますよね。

やしろ たとえば仕事が辛くても、「とりあえず3年」って世間で言われているから、逃げずに頑張らなくちゃ! って思い込んでいる人、たくさんいますよね。でも「とりあえず3年」って誰が言い始めたのかもわからないような価値観を鵜呑みにして、辛くて辞めたいと思っているのに、人生の貴重な3年を我慢するって……。それって無駄な話じゃないですか。

 でも、「いざとなったら逃げられる」と思うと、やりたいことってたくさん出てくるんですよ。「これから逃げたらあれをしてみよう、あ、そういえばあれもやってみたかったんだよな……」とか。

 人生の選択肢に「逃げる」コマンドを表示することによって、思考停止を防ぐことができる。自分に本当に向いているものってなんだろう? 何が好きなんだろう? 何が嫌いなんだろう? と自分の頭で考える力がつく。だからこそ、「逃げる」コマンドを表示させることって大事だと思うんです。

「“働くこと”からバックれ続けた僕」が見つけた仕事の正体

どのコマンドを使うかは「自分で考える」

──「逃げる」コマンドを表示させるということは、イコール、自分の人生の選択肢を増やそう、ということなのでしょうか?

やしろ 「逃げる」コマンドを表示させましょう、つまりは、「自分の頭で考えましょう」っていうことをいちばん言いたいんですよね。だから、極端な話、僕がこの本のなかで書いたことも、鵜呑みにしてほしくない。盲信してほしくないです。盲信するなら、僕のツイッターのフォロー、外してほしいくらい(笑)。僕はこの本を読んでくれた人の事情を知らないし、ひとりひとりの責任をとることはできない。だから、あくまで、僕の意見も、「やしろさんが言っていることは100%正しい!」じゃなくて、選択肢のひとつに入れておく、くらいにしてほしいですね。

 最近だとオンラインサロンとかによくありがちなケースだと思うんですけど、憧れの人や尊敬している人のアドバイスはまんま受け入れがちな人、いませんか? もちろんいいサロンもたくさんありますけど、宗教的なちょっと危ないサロンとかを見ていると、結局、自分を持っていない人が多いんですよね。思考停止している。「〇〇さんが言うから正しいんだ!」「〇〇さんがこう言ってたからこうしよう!」とか。こうなってしまうと、最終的にはその人の指示やアドバイスがないと何もできない指示待ち人間、操り人形になってしまう。

 そうならないためにも、日頃から「自分の意見」を持ち続けることが大事で。「この人はこう言っているけれど、自分だったらこうするな」って一度ストップしてから考える。もし今、「この人が言うことは絶対!」という人がいるのなら、まずはそこから疑ってみるのがいいかもしれませんね。

 何度も言うように、「絶対に逃げよう!」ということを言いたいわけじゃない。辛くてもしんどくても3年我慢して、その結果成功する人もたくさんいます。でも、それって「そういう人もいるよね」っていうだけなんですよ。その人によるし、会社にもよる。だから、自分の現状や心としっかり向き合って、正しいコマンドを選んでもらえたらな、と思っています。今回の本で言いたかったことも、そういうことです。「選択肢から消えてしまっている『逃げる』というコマンドを表示させ、選択できるようになるまでのお手伝いをする本」なので。

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