外側の物差しではなく、内側から湧き上がる情熱で仕事を選べ
――VUCA時代では、どんなふうに仕事を選んでいけばよいでしょうか?
高瀬:僕はずっとサッカーを続けていましたが、どうしてしんどい練習に耐えながらサッカーを続けていたのかを就職活動の際に突き詰めて考えてみたところ、監督や仲間の「信頼に応えたい」という強い気持ちが原動力だったと気づきました。
仕事としてやりたいことを「サッカー」に絞っていたら選択肢は少なかったと思いますが、「信頼に応える」ことが自分の本質的な願いだと気づいた瞬間に選択肢がすごく広がりました。その本質的なモチベーションが見つかれば、大変なことがあっても理想に立ち返って努力できると思います。ぜひ「自分が本当にやりたいこと」を探してください。
矢野:「自分はこれをやる」という強い信念が大切だと思います。私自身、SMBCに入ると決めたときに周りに何か言われても、自分にこだわりがあったので全く動じることはありませんでした。周りの意見はあくまで受け止めながら、自分がずっとこだわれることを発見できるといいですね。
山口:人が一番後悔するのは、世間や親の期待通りに「この人生なら安泰」と言われていたルートを選んで、その後状況が一転して悪化してしまったケースです。内在的でなく外側の物差しを基準に人生を決めると、その道でうまくいかなかったときにものすごく悔いが残るんですね。
今日ここに来るまでに、自分が就職した当時の就職人気ランキングを確認しましたが、上位50社のうち半分以上はなくなっていました。これがVUCAの時代です。いまの就職人気ランキングで上位に入っている会社も、30年後には半分以上潰れている可能性があるわけです。どの会社が潰れるかは業界研究をしても分かりませんので、内側から湧き上がる「絶対にこれをやりたい」という衝動がすごく重要で、それが結果としてダメでも悔いなしと言えるはずです。
給料の高さや会社のブランドは可変的です。グーグルやフェイスブックは、僕が就職したときにはそもそもなかったわけです。そういうVUCAの時代を生きているんだと理解して、内側からの情熱で仕事を選んでください。
(終わり)