自己分析は就活生だけのものではい。
価値観が多様化し、何が成功なのか見えない時代だからこそ、
「自分がどう生きたいか」とか
「自分が世界に対してどういう存在でありたいか」を、
社会人も考えていく必要がある。


自己分析本としてベストセラーを誇る『絶対内定』シリーズ
共著者であり我究館の現在の館長である熊谷智宏さんと、
メモを使った自己分析術を紹介している『メモの魔力』(7月現在、37万部突破)
著者の前田裕二さん、そして幻冬舎編集者の箕輪厚介さんによる
「これからの時代を生き抜くために必要な自己分析」をテーマにした鼎談が実現した。

なぜ今これほどまでに自己分析が求められているのか、
何のために自己分析をおこなうのか。
経営者が熱心に自己分析をおこなっている理由は?

就活やインターンを控える大学生はもちろんのこと、
ビジネスパーソン必読の内容!
(編集:金藤良秀、柴田佐世子+和田史子/撮影:浅見裕、森川亮太、藤澤俊秀)

左から編集者の箕輪厚介さん、『メモの魔力』著者の前田裕二さん、『絶対内定』著者の熊谷智宏さん左から編集者の箕輪厚介さん、『メモの魔力』著者の前田裕二さん、『絶対内定』著者の熊谷智宏さん

「自分はどう生きていくのか」が問われる時代

前田さんプロフィール前田裕二
1987年、東京生まれ。SHOWROOM株式会社代表取締役社長。早稲田大学を卒業後、外資系投資銀行に入社。2011年からニューヨークで数千億~数兆円規模の資金運用するファンドにアドバイザリーを行なう。2013年5月、株式会社DeNAに入社。同年11月、仮想ライブ空間「SHOWROOM」を起ち上げ、2015年8月に事業をスピンオフ。SHOWROOM株式会社を設立。著書に『メモの魔力』(幻冬舎)、『人生の勝算』(幻冬舎)がある。

前田裕二(以下、前田):自己分析と聞くと就活生がやるものというイメージがありますが、僕は、ビジネスマンこそ、内省して己を知り分析する時間が重要だと思っています。

箕輪厚介(以下、箕輪):昔みたいにレールに乗って出世できていた時代には、就職後の自己分析はそこまで必要がなかったんですよね。だけど今は、社会での「成功」という固まったレールが壊れて「自分がどう生きていくか?」が問われる時代。自己分析の価値が高まって、レバレッジが効きまくるようになっていますね。

本当に自分が進むべき道を見つけた場合と、進むべき道があやふやな場合があったとき、昔ならこの2つにはそこまで差がなかったから、どちらのタイプでもレールに乗ってしまえば進む方向は同じでした。

それが今は、レールすらあやふやな時代。

だから、「そもそも自分は何がやりたいのか」を、その瞬間だけでも自分で定義づけできている人は本当に強いなって思います。

熊谷智宏(以下、熊谷):古い就活の文脈では、名門企業に入った人がいわゆる “勝ち組” でした。なので、もしそれがやりたいことじゃなかったとしても勝ち組の会社に入った人はそのままそのレールを走ることになる。たとえ走りたくなかったとしても、「俺、いけてる」となるわけです。

ルールや成功の姿を自分で考えずに、会社が決めたルールや、会社が決めた優秀な社員像を真似て生きていけば、そこそこ楽しいところまでたどり着けていました。でも、それらが崩壊し、学生も、社会人も問わず、何が勝ち組なのかを自分で決めなくちゃいけなくなっています

箕輪 その通りですね。今は勝ち組の定義がない。

「年収1億円稼いでいる人と、300万円でも心から自分の生きたいように生きている人、どちらが幸せか」なんて一概に言えない時代になってる。

前田 「幸せ」は主観ですもんね。本人が何によってどれくらいの幸福度を感じるかは、百人百様の価値観によって決まっている。

就活時代にすごく印象的だった友達がいて、その子はいわゆる外資系の投資銀行や超有名企業に受かりまくっていたんですよ。でも、彼が最終的に選んだのは、有名でもなく給料もおそらく高くない、とあるベンチャー企業だったんです。

マッキンゼーとかP&Gとか、みんな入りたくても入れないような企業の内定を持っていたので、周りは全力で止めていましたが、彼はさほど迷うことなくその会社を選んだ。最近たまたま久々に会ったのですが、今では会社の新規事業部の長になり、自ら会社の新しい未来を描いていて、物凄く輝いていました。

熊谷 それがその人にとっての圧倒的な “勝ち組” だったわけですね。

前田 まさに。「これが、俺にとっての”勝ち”のあり方だ」と。自分にとっての「勝ち」が明確に定義されている人って、本当に格好いいですよね。