LiSAはソニーがアーティスト育成を手がける音楽事務所のソニー・ミュージックアーティスツに所属する歌手であり、楽曲もソニー系のレーベルから発売されている。若者の音楽試聴がサブスクリプションに移行し、CDやダウンロード販売が振るわない中、ヒットアニメの主題歌の販売は好調だ。ソニーのアニメのヒットは、ソニーの楽曲のヒットにもつながっている。さらに、歌い手の所属事務所の利益もソニーの利益になっている。

 こうしたアニメとJ-POPとの関係にも、長い歴史がある。1980年代前半頃までは、アニメの主題歌は、特定の作品名が連呼される個々の作品専用の楽曲であることが当たり前であった。『機動戦士ガンダム』第1作の主題歌を思い出せば、理解してもらえるだろう。

『シティーハンター』が変えた
アニメ主題歌の常識とは

 この「子ども向けアニメソング」に変化をもたらしたのが、先に挙げたシティーハンターだ。1987年に読売テレビ/日本テレビ系列で放送されたシティーハンターは、同じ北条司のキャッツ・アイの後継アニメ番組だった。

『名探偵コナン』などのヒットアニメ作を次々と世に送り出した、読売テレビプロデューサーの諏訪道彦氏(現在はytv Nextry専務取締役)は、シティーハンターのオープニング曲とエンディング曲は、さまざまなアーティストの楽曲が、アニメのための曲としてではなく独立したヒット曲として、むしろアニメ作品を牽引する機関車になってくれればいい、と考えたという。

 前作のキャッツ・アイの主題歌は当時人気アーティストであった杏里が歌う『CAT’S EYE』であったが、杏里の大人びた感じのイメージが作品を良い方向に牽引していた。シティーハンターの初期のオープニングテーマも、小比類巻かほるが歌う『City Hunter~愛よ消えないで~』であったが、諏訪氏はレコード会社に「曲のタイトルにシティーハンターという言葉は入れなくてもよい」とリクエストしていたところ、レコード会社が気を利かせてアニメのタイトルを入れ込んだという。

 しかし、アニメ作品の名前が入った曲はシティーハンターではこの1曲だけで、シティーハンターで最もヒットしたエンディング曲の『Get Wild』は、TM Networkをスターダムに押し上げた。この頃からアニメのオープニングやエンディングは、子ども向けアニメソングから大人も聞く格好いいJ-POPに変わり、現在のような「大人も聞くアニソン」というカテゴリーに進化していった。