2021年は首都圏エリアで緊急事態宣言が発出されるという波乱の幕開けとなった。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の社会・経済・政治の秩序は激変した。地政学リスクの高まり、環境規制の厳格化、テクノロジーの破壊的革新――。「変数」が多く不透明な時代こそ、ビジネスマンにとって大胆な見立てと緻密な戦略は必須となる。その支えとなるべく、ダイヤモンド編集部の記者7人が「2021年の10大トピック」を解説する。特集「総予測2021」(全79回)の#57では、記者座談会の前編をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
浅島亮子デスク それでは、総予測特集の恒例企画となった「記者座談会」を始めます。
2021年は首都圏エリアで緊急事態宣言が発出されるという波乱の幕開けとなってしまいました。中国・武漢で新型コロナウイルスが発生してから1年あまり。コロナの感染拡大により、世界の社会・経済・政治の秩序が劇的に変わりました。
地政学リスクの高まり、環境規制の厳格化、テクノロジーの破壊的革新――。「変数」が多く不透明な時代こそ、われわれビジネスマンにとって大胆な見立てと緻密な戦略は必須になります。皆さんの担当業界の重要トピックを教えてください。
【トピック1】
脱炭素シフトが迫られる分野は
水素、自動車・蓄電池、洋上電力…
浅島D 菅政権が真っ先に掲げたのが、50年までに「カーボンニュートラル」を実現するというグリーン成長戦略でした。一気に環境政策重視へシフトしたね。
新井美江子記者(製造業担当) それを達成するために、水素、自動車(脱ガソリン車)・蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力等が重要分野として盛り込まれました。過去に水素にスポットライトが当たったのは15年のことなので、まさに「水素リターンズ」だといえます。
カーボンニュートラル/直訳は炭素中立。ライフサイクル全体で見たときに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の「排出量」と「吸収量」がプラスマイナスゼロの状態にすること。また、それを実現するためにエネルギーのあり方や新技術の社会実装に取り組むこと。菅政権は50年までのカーボンニュートラルの実現を掲げている。
水素リターンズ/脱炭素社会の切り札として、水素エネルギーが再び注目を浴びている。水素元年は15年。前年12月にトヨタ自動車が世界初の量産燃料電池車『MIRAI』を投入し、エネルギー基本計画にも「水素社会の実現」が盛り込まれた。だが、水素エネルギーを作るには手間もコストもかかるため、掛け声倒れに終わっていた。
浅島D これまでだって日本の政府や企業が環境を軽視してきたわけじゃないけれど、脱炭素へ急旋回しているのは唐突感があるね。
なぜ、一気に脱炭素へシフトしたのかな?