2021年は首都圏エリアで緊急事態宣言が発出されるという波乱の幕開けとなった。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の社会・経済・政治の秩序は激変した。地政学リスクの高まり、環境規制の厳格化、テクノロジーの破壊的革新――。「変数」が多く不透明な時代こそ、ビジネスマンにとって大胆な見立てと緻密な戦略は必須となる。その支えとなるべく、ダイヤモンド編集部の記者7人が「2021年の10大トピック」を解説する。特集「総予測2021」(全79回)の#58では、記者座談会の後編をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
>>記者座談会前編『脱ガソリン車、水素、洋上風力…「グリーンバブル」は本物か?』から読む
【トピック6】
米中で争う技術覇権
最大の標的は半導体
浅島亮子デスク(浅島D) いまだに米国大統領選挙の結果を巡ってはゴタゴタが続いているけれど、予定通りバイデン米大統領が誕生しても、米中対立は深刻化するばかりだね。
新井美江子記者 そうですね。国益を守るために経済的手段が使われる「エコノミック・ステイトクラフト(ES)」は2021年も大事なキーワードになります。
エコノミック・ステイトクラフト(ES)/直訳は経済的な外交術。転じて、経済的な手段によって安全保障上の目的(=国益)を追求すること。米バイデン政権の誕生後も、米中による関税合戦や禁輸措置は続くとみられる。これらの措置はまさしくESの代表例であり、グローバル経済に身を置く日本企業にも、「国益の視点」が求められるようになっている。
浅島D 台湾の半導体企業TSMCが米国工場の建設を決めたことに加えて、日本への工場進出も検討し始めている(特集「電機・自動車の解毒」の#02『日本が米インテル・台TSMCを誘致、半導体「国内回帰」の驚愕計画【スクープ】』参照)。半導体が米中などで争う技術覇権の最大のターゲットになっているようにみえるね。