半導体産業で優位性を高めたい中国と
制裁でそれを阻止する米国

 中国は「中国製造2025」によって、先端の半導体産業でさらに優位性を高めたいと考えている。一方、世界の基軸国家である米国は、何とかしてそれを阻止すべく手を打っている。具体的には、米国は中国の通信機器大手であるファーウェイに続いて、大手ファウンドリーであるSMIC(中芯国際集成電路製造)を事実上の禁輸対象に指定した。

 これによって一時的に、中国半導体産業の成長は遅れるだろう。ただ、米国が制裁によってIT先端分野での中国の台頭を抑えることは容易ではない。やや長めの視点で考えると、中国は徐々に半導体の製造関連の技術を習得し、米国を追い上げる可能性が高い。

 今後、半導体関連の部材分野で世界的なシェアを持つわが国企業は、そうした構造変化からより多くのメリットを享受できるよう、戦略を巡らせることが求められる。そのためには、各企業の技術力向上などに加えて、政府のきめ細かい産業政策が必要だ。政府の対応を期待したい。

米国が世界の覇権を維持するため
存在感が高まるTSMC

 半導体の「設計・開発」と「生産」の分離の重要性が高まっていることは、2020年の世界の主要な半導体企業の業績を分析すると確認できる。このような変化の中で、有力企業は「設計・開発」に特化するか、「生産」も併せて行うかの選択を迫られているようだ。

 生産工場を持たないファブレス化が重視される要因として、半導体の回路線幅を小さくする「微細化」がある。

 どういうことかというと、回路線幅が細くなるほど、半導体の面積当たりの処理能力は高まるが、一方で、製造技術の開発や設備投資の負担は増す。一つの半導体企業が「設計・開発」→「生産」までを貫徹することは難しくなっているのだ。

 2020年7月23日、インテルのボブ・スワンCEOが、7ナノメートルのCPU生産ライン立ち上げの遅れを公表したことは、それを確認する良い機会だった。微細化のつまずきへの解決策として、インテルは外部のファウンドリーの活用も視野に入れると表明した。その後、昨年12月には、自社で製造を行う体制を見直すよう、米国のアクティビスト投資家がインテルに求めた。

 世界の半導体関連テクノロジーのロードマップを描いてきたインテルだが、彼らが重視した垂直統合のビジネスモデルは大きな転換点を迎えているのである。