その歯垢の内部でむし歯菌が酸を作り出すことで、歯のエナメル質を溶かしてむし歯を作ります。歯垢にはまた、歯周病を引き起こす歯周病菌も棲みつきます。歯周病菌はむし歯菌と違って空気を嫌う性質があるので、歯と歯ぐきのすき間(歯肉溝)や歯と歯の間(歯間)など、空気が入りにくい場所に歯垢ができることで増えます。
歯周病菌が増えると、死んでいく菌も増えて、壊れた菌の一部(毒素)が歯ぐきに炎症をもたらし、歯を支えている歯槽骨を溶かします。歯を支える骨が溶け始めてしまうと、ブラッシングをしても元の健康な状態の歯ぐきに戻すのは困難になります。
これが、奥歯を失わせる歯周病菌の怖さです。歯周病の直接の原因は歯垢(プラーク)ですが、間接的にはさまざまな要因があります。
たとえば喫煙者は、非喫煙者の2~8倍も歯周病になりやすい、というデータがあります。たばこの煙には3000種類もの化学物質が含まれ、有害物質は200~300種類にのぼります。これらの物質が歯ぐきの血流を妨げ、防御機能を弱め、細菌の増殖をうながします。
また、精神的なストレスなどが要因で起こる歯ぎしりや、歯並びの乱れ、噛み合わせの不良も、歯周病のリスクを高め、進行を加速させます。
さらに、歯周病の直接の原因ではありませんが、歯石も歯周病になりやすくなるので、つかないに越したことはありません。歯石とは、取り残した歯垢に、唾液の中に含まれるカルシウムやリンが沈着して、石のように硬くなったものです。
そんな歯石除去におすすめなのが「音波振動」の電動歯ブラシです。特に、できはじめの歯石をある程度取り除くことができます。
歯周病予防に効果的な電動歯ブラシの選び方
その電動歯ブラシですが、適切な製品を使えば、歯周病の予防効果が期待できます。電動歯ブラシは3つの種類に分かれます。
ヘッドが機械的に往復運動したり回転したりする「高速運動歯ブラシ」、音波振動をする「音波歯ブラシ」、そして超音波を生じる「超音波歯ブラシ」です。3つの違いは周波数の違い、つまり毛先が振動する速度の違いです。
私がおすすめする電動式歯ブラシは、「音波歯ブラシ」です。音波歯ブラシは手で磨くときのように、歯ブラシを大きく動かす必要がなく、歯ブラシを止めて、またはゆっくりと動かすだけで、歯をきれいに磨くことができます。