写真:相談,窓口写真はイメージです Photo:PIXTA

世の中には無料の情報が溢れているが、危険な物も少なくない。無料のアドバイスも、発信者の意図を考えながら慎重に受け取らないと危険である。(経済評論家 塚崎公義)

売り手にお薦め商品を聞くのは危険

 店員にお薦めの商品を聞く人は多いが、それはもしかすると危険なことかもしれない。店員としては、利益率の一番高い商品を薦めるインセンティブがあるのだから。

 食堂などであれば、あまりガメツイことをするとSNSなどで悪口を書かれるリスクがあるので、彼らは客の利益も考えるはずだ。したがって、ある程度は店員のアドバイスを信じても良かろう。

 また、観光地のレストランなどでは、他に頼るものがないとすれば、店員にお薦めを聞くのも、仕方ない場合もあろう。

 しかし、金融商品については、調べれば情報は容易に入手できるのだから、金融機関の店頭でお薦めの商品を聞くのは避けた方が良い。担当者は、聞けば親切に教えてくれるだろうが、彼らが本当に顧客第一なのか、知ることはできない。上司からノルマを課せられて、手数料の高い商品を売ることを顧客の利益より優先している担当者がいても、不思議はなかろう。

 金融機関の方から「投資セミナーに無料でご招待」といった情報提供をしてくる場合もあろう。そうした場合には、相手の立場に立って考えてみよう。無料で投資セミナーに招待することで、彼らが得られるものは何だろう。単に顧客感謝デーという可能性も皆無ではなかろう。ティッシュやタオルをくれる延長線上だというわけである。

 しかし、投資セミナーでは「なぜ投資しなければいけないのか」「投資するなら何に投資すべきか」が語られ、出口では「口座開設申込書」が配られるのかもしれない。申し込まない自由はあるわけだが、投資に興味があるから参加しているわけで、すっかり洗脳されて申込書を提出する人も多いだろう。

 もちろん、「投資セミナーがあったら行って情報を集めたい」と考えていた人がセミナーに行くのは構わないが、「セミナーに招待されたから行ってみよう」というのであれば、少し慎重に考えた方が良いかもしれない。