「なぜ、日本ではユニコーン企業がなかなか出ないのか?」――。
この疑問への1つの回答となるのが田所雅之氏の『起業大全』(ダイヤモンド社)だ。ユニコーンとは、単に時価総額が高い未上場スタートアップではなく、「産業を生み出し、明日の世界を想像する担い手」となる企業のことだ。スタートアップが成功してユニコーンになるためには、経営陣が全ての鍵を握っている。事業をさらに大きくするためには、「起業家」から「事業家」へと、自らを進化させる必要がある、というのが田所氏が本の中に込めたメッセージだ。本連載では、「起業家」から「事業家」へとレベルアップするために必要な視座や能力、スキルなどについて解説していく。

採用面接の質問で候補者の優秀さを見抜くキラークエスチョンとは?Photo: Adobe Stock

もし来週の月曜日から来るとしたら、まず何をしますか?

 面接時の質問は様々なものがあるが、個人的には、キラークエスチョンだと思うものがある。

もし来週の月曜日から来るとしたら、まず何をしますか?

 このとき、ダメな回答が、「とりあえず一緒にいて勉強させてもらいます」といった類だ。もし仮説をきちんと立てて面接に臨んだ人なら、

朝9時に出社します。御社の課題は××だと思うので、△△のデータはこれだけあるでしょうから、そこから自分がアプローチできるものを探して、やるべき優先順位の高い順から片づけていきます

 のような答えになるはずだ。

 面接後の内定は、他社よりも先んじて行う方がいい。最初にオファーを出した会社が70%採用できるという調査結果もある。

 その他にも、

うちのプロダクトをもし改善できるとしたら、何を、どうやって、どういう順番で改善しますか?」(対エンジニアの場合)

我々のマーケティング施策をもし改善できるとしたら、何を、どうやって、どういう順番で改善しますか?」(対マーケターの場合)

 などのように、自社の課題の改善に直結することを具体的に聞いてしまうのも有効だ。

 質問というより、ディスカッション(ブレスト)に近い感じで聞き出していくと、思考の軸や論点の持って行き方によって、その人の強みや経験が分かる

 例えば、職務経歴書の中には、「UXを改善して、KPIを改善した実績」を書いているのに、「UX」の軸ではなく、ただエンジニアリングのところを提案してくる場合もあるだろう。そういう言動不一致を感じたら、「適性が少ない」と判断することができる

これまで、顧客や上司にどんな提案をしてきましたか? また、そのときに説得した内容を教えてください

これまで仕事上行った意思決定はありますか? その意思決定を行った理由を教えてください

 スタートアップは採用候補者を見極めるときは「カルチャーフィットしているかどうか」をまず、最初に問うべきだ。

 カルチャーフィットとは「企業文化と個人の価値観のマッチ」になる。上記の質問は、どういう価値観で、仕事をしてきたのかを、過去の経験や実績に基づいて聞いてみることが有効だ。