コミュニケーション改善の徹底で
離職率が低下

 昨今、店頭の現場や物流センターでの人手不足の問題が深刻化し、報じられてきましたが、職場の離職率の高さについても、作業のきつさが本質的な原因ではありません。

 なんの説明もなく一方的に、本社や上長から押し付けられる効率やノルマ。そして、マネジメントからのケアもなく、上層部への信頼感がなくなっていること。そして本人が抱える孤独感が問題の本質です。

 実際に、物流改善コンサルティングと実際の運営を請け負っている私の知人が、ある物流センターの離職率の高さの問題に取り組んだ時に、このことに気が付き、マネジャーによる現場のコミュニケーションの改善を徹底することで離職率は一気に下がりました。

 現に職場の上長がしっかりと現場をみて管理している製造業などでは、離職率が跳ね上がることはありません。

 もし、トップダウン型の組織運営を行うならば「トップ」側、つまり意思決定を行う上層部と経営層が、現場の実態を正しく理解している必要があります。

 ここでは、成果主義の評価制度を例にしました。

 結局、すべての施策について、市場や組織に対してどのようなインパクトを与えているかを把握すること。そして、常に謙虚にすばやく方向修正ができる「組織のPDCA」が、誰を責任者にして廻っているのかが明確であることが、組織運営の大前提になります。

 これを言い換えれば、組織の設計とは日々の業務、あるいはプロジェクトにおけるPDCAを廻す単位の設計と言えます。

《Point》
 そもそも組織設計とは、日々の業務、プロジェクトにおけるPDCAを廻す単位を明確に定めること。