中国の新車販売市場において
現代自動車の販売台数は減少

 2020年通期の販売実績を見ると、回復が鮮明な中国の新車販売市場において、現代自動車の販売台数は減少している。それは、日本の大手自動車メーカーと対照的だ。別の角度から考えると、中国の消費者は日本の自動車企業の精緻な「すり合わせ技術」を安心と安全の象徴としてより評価している。そう考えると、技術面での日韓企業の差は軽視できない。

 過去、現代自動車は基本的にはわが国からの技術移転を重視し、その上で先行企業の人気モデルを模倣し、低い価格帯で販売してきた。リーマンショック後の中国の自動車産業の成長が本格化する以前の状況下、その戦略は一時的にはワークした。

 その後、「中国製造2025」政策の下で、共産党政権は補助金や土地の提供などによって自動車産業を育成し、バッテリー分野では電気自動車用電池メーカー、CATL(Contemporary Amperex Technology/寧徳時代新能源科技)が急成長している。コスト面で現代自動車が中国勢に対して優位性を発揮することは難しくなっている。つまり、競合相手に模倣されない技術を生み出すことが、企業の長期存続に欠かせない。

現代自動車の株価は30%程度上昇
EVへの期待を強める投資家

 その一方で、年初来から1月下旬までの間に、現代自動車の株価は30%程度上昇した。それが示唆することは、世界の投資家が基礎的な技術力という根本的な問題よりも、世界的なカネ余り環境の中で、現代自動車のEVへの取り組みへの期待を強めていることだ。それは、世界的な株価と実体経済の乖離の一例ともいえる。

 財務面において、現代自動車が今すぐ大きな問題に直面する展開は想定しづらい。ただし、長めの目線で考えると、現代自動車がどのように長期存続を目指すかも見通しづらい。

 外部の技術などに頼ってきた同社が、自力で世界の消費者の信頼を獲得できる自動車を生み出し、CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアリング、エレクトリシティー)への取り組みに加え、都市空間の一部としての自動車開発を進めることは容易ではないだろう。

 逆に言えば、日本企業にとって、強みを維持するパワー半導体や半導体関連の微細かつ高純度な部材、および自動車を支えてきた精緻な「すり合わせ技術」を磨くことは、競争面での優位性を高めるために欠かせない。その上で、日本企業が米中双方から必要とされる立場を確立することが、今後の日本経済の持ち直しと回復への期待に大きく影響するだろう。