「コロナ禍の今読めてよかった」「無性に旅に出たくなった」「近所でも旅はできるんだ」「何度も笑って、最後に泣いた」……。
岡田悠さんの初著書『0メートルの旅』が、旅好きから大絶賛を受けています。訪れた国は15年間で70か国以上。毎年の有給休暇の全てを旅行に費やす無類の旅好き。
岡田さんが旅好きになったきっかけは、「世界3大ファッキンカントリー」に数えられる国との衝撃的な出会いでした。今回は書籍の発売を記念し、旅を面白くするためのコツを聞いてみました。(取材・構成:川代紗生)

超旅好きになったきっかけの国

──岡田さんは、初のひとり旅以来、15年間で70か国以上の国に旅しているんですよね。そこまで旅にハマるきっかけは何だったんですか?

岡田悠(以下、岡田):はじめて海外旅行に行ったのは、大学一年生の夏休みでした。父親がバックパッカーだった影響で「大学生になったらバックパッカーになるものだ」と思いこんでました。いろいろな国に行ってみたいという気持ちは、昔から強かったです。

 はじめての海外ひとり旅に選んだのは、当時バックパッカーの間でインド、エジプトに並んで「世界3大ファッキンカントリー」と呼ばれていたモロッコでした。なんだか、エキゾチックで、混沌としたイメージに憧れがあったんです。

──モロッコ、どんな旅だったんですか?

岡田:「ファッキンカントリー」と呼ばれるだけあって、ただ快適な旅ではなかったんですよ。まず、空港から乗った電車の中でいきなりバックパックを盗まれて貴重品以外全部なくなりました。

──いきなり「バックパッカー」じゃなくなってる…。

岡田:客引きの強引さがすごいし、道に落ちてるラバの糞を踏みまくるし、黒魔術師に金をせびられるし、「自称ガイド」の誘いを断っただけで「ファックユー!」を連発されるし。トラブルの連続でした。

──モロッコの話、『0メートルの旅』本編にもありましたけど、モロッコ人の家族と1週間同居することになったんですよね。

岡田:はい。ハムザというとてもピュアな同世代の若者に出会って。読者の方からは、モロッコのエピソードに感想を寄せてもらうことが多いですね。

──……でも、そんなトラブルだらけだったら「もう旅なんてこりごり!」ってなりませんか?

岡田:帰国できてめちゃくちゃほっとしましたよ(笑)。でも、忘れられない記憶が焼きついたような感じがあって。ずっとモロッコの余韻が残ってるんです。すぐにまたどこかに行きたくなって。そこからしょっちゅう、暇を見つけてはひとり旅に行くようになりました。

岡田悠(おかだ・ゆう)
1988年兵庫県生まれ。ライター兼会社員。有給休暇取得率100%。そのすべてを旅行に突っ込み、訪れた国は70カ国、日本は全都道府県踏破。note、オモコロなどのwebメディアでエッセイを執筆し、旅行記を中心に絶大な人気を博す。本書収録のイランへの旅行記で「世界ウェブ記事大賞」を受賞。『0メートルの旅』が初の著書。

旅を面白くできる人とできない人
その決定的な違い

──なぜ、そこから旅にのめりこんでいったんだと思いますか?

岡田:あの旅で僕は、旅が面白くなるのって「予定していなかったことが起きたとき」だと思ったんです。バックパックを盗まれ、警察に駆けこんでも軽くあしらわれ、着替えもガイドブックも全部失って、藁にもすがる思いで見知らぬ男の人に助けてもらってその人の家で1週間も過ごすことになるなんて、全く予想してなかったわけです。

 トラブルだらけ、うまくいかないことだらけなんですけど、それを軌道修正しようと思っても何も楽しくない。そこで思いきって「想定外」を受け入れてみると、ガラッと面白いことが起きるようになるんです。

 いろいろな旅行者と話をしてきましたが、同じところに旅に行っても、面白いことが起きる人と、起きない人がいる、という話になります。

──ほうほう。それは気になりますね。