まずは「論理思考を止める」
というアプローチが有効
──「自分はダメである → だからうまくいかない」という論理思考から逃れられないとき、佐宗さんは、実際にどんなことをやったんですか?
佐宗:当時は、「今ない未来」をいきなりイメージしたとか、そういうことではなく、まずは色を見たり、絵を描いたり、演劇をやったりしていました。
いちばん印象的だったのは、自画像を描くワークショップですね。そのときに、物事をじっと観察することを続けていると、「論理的に考えてしまう思考回路」を止められるようになると気づいたんです。色だったり、陰影だったりの微細な変化に意識を向けていると、論理には意識がいかなくなるんですよね。そういうことを集中してやっているうちに、自然とうつを抜けられたという感じですね。
──論理思考を一旦止める、というのが大事なんですね。
佐宗:そうなんです。そういうときに、何かを感じるとか、手を動かして何かを描いたり、つくったり、「頭ありき」で動かないことがとても有効なんです。それが直感や感性の側への入り口なんですよ。論理思考はとても大事なスキルですし、普段はそれを使うのはもちろん問題ないんですが、論理しかなくなってしまって「論理」を制御できなくなるのが危険だなと思いますね。
僕自身も言語脳が優位なタイプではあるので、自戒の念を込めて、直感とか、感性の入り口をいつも意識するようにしています。
──世の中のビジネスパーソンにもそのタイプは多そうですね。
佐宗:そうですね。2010〜18年くらいまでは、論理的に再現できるもので回っていた部分があるんですけど、それ以降は「同じパターンをやっているだけでは、もはやダメなんだな」と感じ始めているビジネスパーソンも多いでしょうね。
だからこそ、直感とか、感性がより大事になってくるんですけど、実際にどうやっていいかわからないという人がほとんどです。そういう「論理」と「直感」を行ったり来たりするための方法論が書かれた本ってあまりないんじゃないかなと思って、『直感と論理をつなぐ思考法』をまとめようと思い立ちました。