すぐに反応しない。
とりあえず一度「間」を取ってみる

──周りで起こっていることやたくさんの情報に対して、「自分なりの解釈・意味付け」をするためには、実際にどんなことに気をつければいいでしょうか?

佐宗:そこで大事になってくるのが「間」だと思うんです。今は情報の流れが速いので、仕事のメールでも、ニュースやSNSの情報でも、それが入ってきた途端にパッと反応しちゃいますよね。典型的な「他人モード」です。

 だからこそ、そういうときには、まず一拍置いて考える。いったん自分が何を感じているのかを考えて、それを書き出してみるとか、イメージを描いてみるとか、やり方はいろいろあると思います。そうやって自分の中で身体化する「間」をつくることで、解決する部分はけっこう多いんじゃないでしょうか。マインドフルネスなんかは、「間」をつくるという意味では、うってつけの方法ですよね。

「間がない」というのは、僕らが生きている時代の根本的な構造とも関わっています。だからこそ、「自分のストーリー」「自分の時間」「自分が感じていること」に意識を向けるのが、この時代を生きていくうえでの大切な技術になってくる。子どもたちにもそれを伝えていきたいと思っています。

──実際に「間がなくなっている」と佐宗さんが強く感じるのは、どういうときですか?

佐宗:フェイクニュースのリツイートなどは典型じゃないでしょうか。わざわざニュースソースをきちんと確認する人はほとんどいません。みんながその場の感情に流されて、反射的にリツイートするからこそ、嘘の情報でも一瞬で広がってしまうわけです。

「間がない」状態というのは、「自分」のストーリーが失われており、「他人」のナラティブを100%信じてしまっているとも言い換えられると思います。

 でも、こうやってみんなの「間」がなくなっているのには理由があります。つまり、たくさんの人が、そうすることで「不安な社会」に対処しようとしているんですね。だから、「フェイクニュースを拡散するなんてダメだ!」とか「何も考えず『いいね!』を押すな!」というようなことを頭ごなしに注意しても、あまり効果的とは言えません。

 むしろ、こういう環境そのものに対処できるソリューションを考えていかないと健全ではないなと僕自身は感じています。そのとき、「教育」というのは、この状況に飲み込まれないための1つの突破口になるはずです。

 最近は学校などで子どもたちに向けて話す機会もいただくのですが、そこで僕が伝えているのは「『意味』は教えてもらうものじゃなくて、自分でつくるものだよ」ということ、そして、「『自分なりの意味』をつくるための『やり方』があるよ」ということです。

──その「やり方」が佐宗さんの『直感と論理をつなぐ思考法』のなかにはたくさん紹介されているわけですが、とくに日常生活で「間をつくる」うえで有効な方法ってありますか?

佐宗:簡単なところで言えば、「写真を撮っても、すぐSNSに上げない」というのは、意外と大事だなと思っています。その点は僕自身もけっこう意識していますね。

「いいな」と思った景色やモノを写真に撮ることは否定しません。むしろ、気になったものを写真に撮る行為は、自分の「関心」や「好き」に目を向けるきっかけになるので、本の中でも推奨しています。

 他方で、撮った写真をすぐにSNSにアップロードしようとしているとき、その人は「他人モード」になっている可能性が高い。というのは、その人の関心は「フォロワーからどんな反応があるかな?」「みんなから『いいね!』と言ってもらえるかな」というところに向かっているからです。

 これを続けていると、今度はどれだけ素敵なものを目にしても、「これの写真をSNSでシェアしたら、どんな反応があるかな」という感じ方しかできなくなっていきます。頭のなかが「他人」で占められていくわけですね。

 そうならないためにも、写真を撮ってもすぐにSNSにシェアしない。せめて何日間かの「間」を取ってからSNSに流してみる。それだけでもかなり変化を実感できると思いますね。

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第2回 「アイデアが全然伝わらない人」と「すぐに“それいいね!”と言われる人」を分ける決定的な差