これは、これまで子どもが「反応」していたことを、「対応」に変えられるようになったということでもあります。このアプローチを続けていると、子どもたちは「自分がどんな場面で、どんなきっかけでその感情にとらわれるのか」が少しずつわかってくるようになります。すなわち「メタ認知」が高まっていくのです。

 保健室は、体のことを手掛かりに子どもたちが足を踏み入れやすい場所、そして、体の変調と心の問題をつないでくれる場所。そして、問題を「成長」に変える場所として、保健室の存在価値はとてつもなく大きいのです。

ひとり歩きする「自己肯定感」が子どもを苦しめている

 では、そんな子どもたちの一番近くにいる親は、どのように接していくべきなのでしょうか。

 昨今、自己肯定感ということばがブームですが、教育現場でも巷でも、この「自己肯定感」ということばがひとり歩きしているように感じています。親たちも「自己肯定感の高い子どもに育てなければ」という想いがあだとなって、逆効果なこともたくさんしてしまっているケースも多いのです。

 自己肯定感とは自分のことを好きになることという実に抽象的なイメージを持たれがちですが、私が保健室で出会った子どもたちは、この「自分を好きになる」という解釈に苦しんでいました。「よい自分だけを見せたい」「マイナスな自分がいるからその自分を好きになれない。ダメな自分をすべて消したい」「自分を好きになれない自分はダメなんだ」と自分を責める子もいました。

 多くの大人が、失敗すると自信をなくす、自信をなくすと自己肯定感が下がると考えています。そのため、子どもが失敗しないようによかれと思って、子どもの目の前の障害物を取り除きたくなるかもしれませんが、それで自己肯定感が上がるわけではありません。

 本当の自信とは、結果にとらわれることなく、どうしたいのかを自分で考え、試行錯誤して達成していく過程を通して感じ取るものたからです。