日米台を軸とする
半導体サプライチェーン構築の可能性

 今後、世界の半導体サプライチェーンは変化する可能性がある。一つのシナリオは、日・米・台を軸に、世界の半導体供給網が再整備される展開だ。

 半導体の設計・開発と生産の分離が進む中、米国は、最先端の製造技術や設計・開発に関するソフトウエア(知的財産)の強化に取り組む。米国が中国の人権弾圧にIT先端技術が使われていることを問題視し、半導体製造技術などの流出を食い止めるために制裁を強化する可能性もある。

 台湾では、TSMCが微細化や後工程への取り組みを強化している。

 また、わが国は旧世代の生産ラインを用いた半導体の供給や、高付加価値の関連部材、製造装置などの供給者としての役割を発揮しつつある。

 それは半導体産業を強化したいEUにとっても重要だ。車載半導体を手掛ける欧州の半導体企業は、生産をTSMCなどに委託している。最先端の半導体生産に用いられる極紫外線(EUV)露光装置に関して、唯一の供給者であるオランダのASMLは米国の知的財産などに頼っている。

 半導体業界における日米台の連携は、EU各国企業にも大きく影響するのである。国際社会と世界経済の安定に、半導体サプライチェーンが与える影響は増すだろう。

 このように考えたとき、韓国政府とサムスン電子などの企業が、半導体業界の変化にどう対応するかが不透明だ。

 TSMCは2021年内に回路線幅3ナノメートルの半導体の生産を開始すると、見込まれている。ファウンドリー分野でTSMCとサムスン電子とのシェアや技術面での格差は、今後拡大していく可能性が高い。

 他方で、メモリ半導体や家電などの分野において、韓国の企業は、中国企業に追い上げられている。文政権の政策は、国際社会における韓国の立場と、韓国企業の変化への対応力にマイナスの影響を与える恐れがある。